みなさん、こんにちは。今回も映画『ドラゴン・ハート─霊界探訪記─』(5月23日公開)がらみの作品をご紹介します。

世の中には、教養のために鑑賞したい名作映画千本のうちには入らないとしても、隠れた佳品が数多くあります。この「スープ~生まれ変わりの物語~」は13年前の映画ですが、私は当時、試写会で観て感動し、「ザ・リバティ」2012年8月号で取り上げました。その後もずっと心に残っています。

本作が『ドラゴン・ハート』とどんな関係があるかというと、大川隆法・幸福の科学総裁の新著『映画「ドラゴン・ハート─霊界探訪記─」原作集』に、こんな一節があるのです。映画の原作インスピレーションを降ろした芥川龍之介の霊が、あの世からこの世に生まれ変わるためのシステムについて、質問者と交わした対話です。

芥川龍之介: それから、言われてるのでは、何か「生まれ変わりのドリンク」っていうかなあ、お酒なのかな。お酒か何かよく分からないけど、そういうようなものを飲んで、(そし)たら意識を失って、「この世の肉体に宿ってた」みたいな、そういうのもよく聞きますね。場所によって、ちょっと違いがありますけども。

質問者A:「(生まれ変わる前に)スープを飲む」という映画があったんですけれども、あながち間違いではないということですね。

芥川龍之介: ああ、スープもありますね。(中略)記憶を失わなきゃいけないんですよね。

映画のタイトルは挙げられていませんが、たぶん、今回ご紹介するこれだと思います。原作は中国奥地の、前世を記憶している人が多くいるという村を取材したノンフィクション本で、本作はそれを現代日本のヒューマンなドラマに翻案しています。

中年男の健一(生瀬勝久)は2年前に離婚し、中3の一人娘とギクシャクする日々で仕事にも疲れていた。彼は娘をきつく叱った翌日、上司の由美(小西真奈美)もろとも落雷で死んでしまう。二人が行ったあの世では、あるスープを飲めばこの世に生まれ変われるものの、前世の記憶は失われる。娘に心残りのある健一は、前世の記憶を保ったまま生まれ変わろうと一か八かの行動に出る──。

ストーリーは生前の健一と娘の葛藤、死後の世界の不思議でユーモラスな体験、そしてこの世に生まれ変わって16年後、男子高校生となった健一の物語という、3つのパートで織りなされます。最初のパートでは健一の生きづらさを生瀬が抑えた演技で好演。第2パートでは、人気(ひとけ)のない緑豊かな森や公園を健一と由美がどこまでも歩いていくシーンが、この世ならざる鮮やかな色合いの映像と音楽の力で、夢のような時空間に迷い込ませてくれます。最後のパートでは、生と死を超えて生き続ける、人の想いの美しさが描かれ、感動を誘います。

私たちは誰もが、人生を終えるとあの世に還り、ある程度の歳月を過ごすと、新たな経験を求めて再びこの世に生まれてきます。その際には、新たな人生修行の妨げになるので、いったん前世の記憶を失わなければなりません。幸せな思い出を忘れるのは寂しくつらいことでしょうが、私たちは勇気をふるってそれを決意し、白紙の状態で今回の人生に生まれてきたのです。そしていつかあの世に還ったら、過去世の記憶が再びよみがえる──。それが、幸福の科学が明かしている転生輪廻システムの真実です。私たちが縁ある人たちとの愛と葛藤、別れと出会いを繰り返しつつ、実りの多い人生修行を送ることができるよう、神仏が大いなる叡智と慈悲の心で組んでくださったシステムなのです。

私は今回、DVDで本作を二度目に鑑賞したあと、過去のリバティを引っくり返し、自分が13年前に書いた紹介記事を読んでみました。それはちょっとした、過去世の記憶がよみがえったような感覚でした。そこに書かれていた次の一文が、今回もこの映画の紹介として自分に書くことのできるベストの結論であると思えるので、そのまま引き写すことにします。

「生まれ変わりを上手に描いたドラマがこれほど人の心を震わせること自体、生まれ変わりが未開人の空想などでなく実際に存在することの間接的証明だろう。」

このweb上にまだその記事がありますので、こちらもよろしければご覧ください。

https://the-liberty.com/article/4466/

(田中 司)

 

『スープ~生まれ変わりの物語~』

【スタッフ】
監督:大塚祐吉 原作:森田健
【キャスト】
出演:生瀬勝久 小西真奈美 松方弘樹ほか
【その他】
2012年製作 | 118分 | 東京テアトル

DVDや各種映像配信で鑑賞できます。

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【関連書籍】

映画「ドラゴン・ハート―霊界探訪記―」原作集

『映画「ドラゴン・ハート─霊界探訪記─」原作集』

大川隆法著 幸福の科学出版

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