《ニュース》

アメリカのトランプ大統領が「非関税障壁」としてやり玉に挙げる日本の自動車安全試験について、政府が日本側の試験の一部を除く負担軽減を検討していると報じられました。

《詳細》

日本でメーカーが新しい自動車を大量生産・販売する際は、「型式指定」を取得する必要があり、国が定めた安全基準や環境基準を満たしているかどうかをチェックする認証試験を受けるようになっています。日本はEU各国やオーストラリア・タイなどと型式認証の基準をそろえ、相手国の性能試験結果を承認する協定を結んでいます。

アメリカでは安全基準は定めているものの、国による認証制度はありません。メーカー各社の責任で基準に対応しているかどうかを確認する「自己認証」を行っており、販売後の抜き打ち検査で安全基準から外れた製品があるとリコール対象となります。

そのため、日本でアメリカからの輸入車を販売する際には、原則、型式を取得し直す必要があります。トランプ氏は20日、自身のSNSで「保護主義的な技術基準」を非関税障壁の一つとして批判し、「日本のボウリング球試験」に触れていました。2018年にもトランプ氏は、「少しでもへこんだら不合格になる」と、この試験を批判しています。

これは、人間の頭部を模したダミーの球体を決まった速度と角度でボンネットに衝突させ、歩行者保護のための衝撃吸収能力を調べる「歩行者頭部保護性能試験」とのこととみられています。

日本政府側は、アメリカ基準の安全試験の中に日本基準に適合する試験もあることから、双方の試験を検証すれば、省略できる範囲を広げられる可能性があるとしています(4月28日付産経新聞電子版)。

そもそも、日本への輸入車には、すでに1車種あたり5000台まで、試験なしに簡易な書類審査のみで販売できる「輸入自動車特別取扱制度」があります。それにもかかわらずアメリカ車が売れていないのは、車体が大型で、狭い日本の道路を走行する消費者のニーズに合っていないからであり、非関税障壁ではないとの指摘もあります。

ただ、今一度注目したいのは、トランプ氏が批判する「試験」が、日本の自動車メーカーをも苦しめているという点です。

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