《ニュース》
東京電力が、柏崎刈羽原発の6,7号機で建設を進めているテロ対策施設の完成時期を2029年度半ば以降に後ろ倒しにすることを新潟県や柏崎市、刈羽村に伝えたことが分かりました。
《詳細》
福島第一原発後の新しい規制基準では、原発を稼働する際、航空機突入などの大規模テロに備えた「特定重大事故等対処施設(特重)」を建設する必要があります。しかも、再稼働に必要な工事計画の認可から5年以内に設置できない場合、原子力規制委員会は運転の停止を命じるとしています。
柏崎刈羽原発7号機は25年10月まで、6号機は29年9月までに施設を設置しなければなりません。当初、7号機の「特重」の建設は今年3月までに完成予定でしたが、人手不足などにより間に合わないことが分かり、29年度半ばに遅らせることとなりました。
柏崎刈羽原発についてはテロ対策上の問題が相次いでいましたが、24年、国際原子力機関(IAEA)は「対策は適切に実施されている」との報告書を発表。7号機の原子炉には燃料が入れられ、再稼動に向けた準備は最終段階を迎えていました。
柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は2月27日、「夏場に厳しくなる東日本の電力需給に貢献するためにも、7号機、6号機の順に稼働させていきたい」と述べ、今年の夏までに7号機を再稼働させることを目指すとの考えを示しました。
2月18日にはIAEAのグロッシ事務局長が柏崎刈羽原発を訪問。同原発について、世界有数の原発の一つであり、「再稼動させることは重要な布石」であり、「日本が決定次第、再稼働して構わない」と強調していました。
再稼働に賛成していた柏崎市の桜井市長は、「完成時期が、およそ4年も遅れるのは予想していたよりも長く、非常に残念だ」と発言し、「原発を再稼働すれば、東京電力は、福島の復興などにあてる資金を得られるので、たとえ数カ月だけだとしても稼働させる意義はあると思う」としています。
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