《ニュース》

厚生労働省は、2022年度中に児童相談所(児相)が対応した相談のうち、児童虐待に関する対応件数について、一部の自治体が国の報告要領にあたらないケースを長年計上していたことを認め、再集計を行いました。結果、昨年に発表した速報値から4327件減少し、確定値が21万4843件となったと発表しました。

《詳細》

相談の種別に見ると、心理的虐待が12万8114件と最も多く、次いで身体的虐待が4万9464件、保護の怠慢・拒否(ネグレクト)が3万4872件、性的虐待が2393件でした。

虐待を受けた児童の年齢別で見ると、3歳が1万3849件と最も多く、身体的虐待の割合は年齢が上がるにつれて多くなっています。虐待者は実母が48.0%と最も多く、実父が42.6%でした。

東京新聞(9月24日付電子版)によると、「児相の職員が対応したものの、虐待ではなかった」などのケースも報告するなど、対応件数を誤って報告していた自治体は、児相を設置していた全国78自治体のうち、23自治体。埼玉県が1641件を多く誤って報告し、次いで東京都が1360件多く報告していました。

児童虐待の相談件数は、児童福祉司の配置人数の基準や普通交付税に反映されます。東京新聞は、自治体ごとに異なる解釈で相談数が計上されている疑いを昨年から報じていました。同紙は「驚くのは、多くの自治体の担当者がこのずさんなありさまを、実はうすうす気付いていたということだ。(中略)交付税の算定にも関わる相談対応件数が自治体の解釈ひとつで変幻する状況を、見過ごしてきた責任は重い」と指摘しています。

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