《ニュース》

2025年4月から始まる大阪・関西万博の期間中、隣接地で進められる予定の統合型リゾート(IR)の工事を中止するよう求める声が、万博協会や万博事務局から上がっています。

《詳細》

大阪市の夢洲では、万博の会場に隣接した場所でカジノを含むIRの建設が進められています。万博期間中も工事を続けることを前提とした計画は、23年4月に国の認定が下り、同年9月にはIR事業者と大阪府との間で実施協定を締結しました。

ところが24年8月上旬、万博開催を監督する博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長や日本国際博覧会協会(万博協会)が、万博開催期間中に工事を中断するよう求めていることが明らかになりました。

ケルケンツェス事務局長は25日付産経新聞電子版のインタビューで、IRの本格的な工事が25年4月に始まることについて「今年6月に奈良で開催された国際会議の場で初めて聞かされた」と発言。万博期間中に隣接地で工事が行われれば、奮迅や騒音、景観への阻害、物流網のひっ迫など、万博の運営に深刻な問題が起こると懸念を示しています。

万博協会は大阪府市に対し、IR工事による万博への影響を示す資料を請求していました。今年5月下旬に提出されましたが、騒音や振動、クレーンの見え方など協会側が懸念を示している点については「整理中」、つまり、調査中であるとされていました。万博への影響が依然として不明瞭であることについて、BIE側は「万博運営にどのような支障も来さない」という日本の約束に反していると強く反発しています。

一方、アメリカのMGMリゾーツ・インターナショナルと日本のオリックスが出資するIR事業者側は、工事を中断するとなれば、万博期間の半年前後も含め、1年以上止まることになり、数百億円の損失が出ることを懸念。「工事の中止は難しい」との認識を示していることを、8月5日の会見で吉村洋文知事が明かしていました。

IR事業者と大阪府市の契約の中には、2026年9月末までに資金調達や土地整備などが整わない場合、違約金無しで事業から撤退できる「解除権」が含まれています。

MGMリゾーツ・インターナショナルの幹部は15日付AERA dot.に対し、「万博で工事中断となればさらに遅れることは確実だ。そうなれば、事業計画通りにIRを運営していけるのか、となる。大阪府市に補償を求めることもあるだろう。商売として成立しないなら当然、解除権の行使も議論されることになる。傷が浅いうちのほうがいい」と語っています。

吉村知事は会見で、「1兆円を超える投資で、ここではビジネスができないとなれば、当然、解除権の行使も可能性としてあり得る」と認めつつ、事業者に最大限取り得る措置を考慮してもらいたいと要請しているといいます。

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