《ニュース》

文部科学省の調査で、公立小中学校の給食費を完全に無償化している自治体が全体の30%に上ることが分かりました。財源不足で無償化をやめた自治体もあり、「国による支援」の実現に向けた動きが進んでいます。

《詳細》

政府は2023年に発表した「こども未来戦略方針」において、学校給食費の無償化の実現に向けて調査を行い、その結果を公表するとしています。今回の調査は、無償化を目指す上での児童・生徒間の公平性の課題などを洗い出すために行われています。

文科省が12日に発表した調査結果によれば、2023年9月の時点で小中学校の給食完全無償化を実施していた自治体は547で、全体の3割に上りました。17年の調査では約4%であり、6年間で7倍に増えています。また、多子世帯などに限る一部無償化を含めると、4割に達します。

無償化を実施している理由として、自治体の9割が「経済的負担の軽減」と回答しています。一方で、アレルギーなどで給食を食べていない公立の児童生徒は全国で28万5000人にのぼっています。弁当代などを自己負担する児童・生徒と、給食無償化の恩恵を受ける児童・生徒の不公平感も課題の一つとされています。

財源は66%が「自己財源」であり、緊急のコロナ対策であった「地方創生臨時交付金」が32%、「都道府県からの補助」が7%、「ふるさと納税」で寄付を募った自治体が10%に達しています。財源の負担は大きく、24年度以降に取りやめる自治体が82となりました。文科省の推計によると、公立小中学校の年間の給食費の合計は約4832億円で、国立や私立も含めた場合、費用は年間5100億円とみられています。

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