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アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

頼清徳が5月20日、台湾総統に就任した。それに合わせ同23日と24日、中国が台湾周辺での軍事演習を発表したことは周知の通りだが、注目すべきはその後、北京を含む中部戦区に異変が起きたことだ(*1)。

演習中、なぜか中部戦区の北京近隣で"政治的安定"が強化されている。中部戦区としては休息時間であるはずの夜中に突然、警報が鳴り始め、軍事訓練が始まっているのだ。

北京市に隣接する河北省では、「中南海を水浸しにし、習主席を叩く」といった"侮辱的"な言葉が部隊に流れたという。そのためか、直近、北京の街頭での身分確認が強化され、部外者の北京市内への立ち入りが厳しく規制されている。

(*1)2024年5月25日付『万維読者網』

軍事演習に動揺しない台湾

さて今回、習近平政権は台湾人を脅すため、台湾周辺で軍事演習を実施し、海峡両岸での戦争勃発という恐怖の雰囲気を作り上げようとした。

だが、それをよそに台湾の立法院では与野党の立法委員らがバトル(立法院で多数を占める野党、国民党と民衆党が「立法院改革」を行うための法案を成立させた)にいそしみ、経済も動揺するどころか、台湾加権指数は史上最高値を更新し、TSMCの株価も過去最高値を維持している。

台湾の国防大学政治作戦学部の元学部長、余宗基は、中国の軍事演習が、台湾の通常の生活にほとんど影響を与えないようになっていると述べた。