2024年4月号記事
少子化対策の「効果なし」
子供の医療費無償化をいつまでやるのか
優しすぎる社会になって、「この世の地獄」が広がるのを防ぐための考え方とは──。
「友人Aは、自分の子供が病院に行ったついでに、肌の悩みを持つ私のために塗り薬を3つ処方してもらい、譲ってくれた。ラッキー!」
友人Aは医療費が無償化された子供の受診に便乗して、塗り薬を処方してもらい、それを他人に譲った。塗り薬の市価は5千円程度であるが、どうせ"タダ"だし他人にあげてもいい、ということのようだ。
国の医療制度では、「小学校入学前までは健康保険組合が8割補助し、自己負担は2割。そして、入学以降の自己負担は3割」が基本となっている(下図)。よって本当は「タダではない」。
負担感を鈍らせているのは間違いなく、子供の医療費無償化である。全都道府県・全市区町村が自己負担分を何らかの形で補助する中、その割合を拡大、さらには無償化する動きを強めている。名目は「少子化対策」であり、安心した子育て環境の整備だ。
例えば東京都23区は2023年度より、医療費助成の対象を高校生まで拡大している。