《ニュース》

2023年の外資企業による中国への直接投資が前年比で約82%減となり、30年ぶりの低水準となったことが明らかになりました。

《詳細》

中国国家外貨管理局が発表した2023年の国際収支によると、外資企業の直接投資は330億ドル(約4兆9500億円)となり、前年比で約82%落ち込みました。新規投資の減少と共に、事業縮小や撤退による資金引き上げの動きが影響していると見られています。

23年7月~9月期には資金の流出額が流入額を上回り、統計が確認できる1998年以降では初めてマイナスとなっています。通年ではプラスとなりましたが、ピークとなった21年と比較すると、約1割程度となりました。

中国では深刻な不動産不況やアメリカによる対中貿易規制によって経済の先行きが不透明であることに加え、23年7月に施行された「改正スパイ防止法」への外資系企業の憂慮が高まっています。

この「改正スパイ防止法」では、スパイ行為の対象について明確な定義がされないまま、あらゆる文書やデータ、資料、物品などが「国家安全上の利益に関わる」とされる恐れがあります。たとえビジネスであってもスパイ行為とみなされれば、恣意的な逮捕や拘留が行われうるのです。

すでに23年10月には、「スパイ防止法」容疑で拘束されていた日本のアステラス製薬の社員が正式に逮捕されています。この件について24年1月、日中経済協会が訪中した際に懸念を示したところ、王文濤商務相は、中国人が日本で逮捕されることもあるとして、「成熟した国家間の成熟した関係を期待している」と述べるにとどまりました。

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