《ニュース》
風力発電の風車の設置が、ミサイルや航空機を探知する自衛隊のレーダーなどに影響を及ぼすとして、政府が建設を規制する法案を提出する方針であると、各紙がこのほど伝えました。
《詳細》
自衛隊の警戒管制レーダーは、領空侵犯のおそれがある航空機や、弾道ミサイル、巡航ミサイル、小型無人機などを発見するため、全国28カ所に設置されています。レーダーの近くに風力発電設備の風車があると、レーダーが目標に送る電波を反射してしまい、目標の探知や追尾に支障をきたすことがあります。防衛省によれば、レーダーの標高や風車の高さによっては、100キロメートル以上離れた場所でも影響が生じる可能性があるといいます。
風車の設置は雨雲や雷雲の状況を観測する気象レーダーにも影響するおそれがあるほか、「自衛隊の駐屯地や基地間での無線通信に通信障害が生じる」、「航空機や救難ヘリの出動の支障となる」といった事態も引き起こしかねません。また、洋上風力発電の設備が、自衛隊が海上で行う射撃・爆撃訓練の支障になることもあるというのです。
防衛省はこれまで、自衛隊や在日米軍の任務に支障をきたすおそれがあるとして、風力発電設備の設置業者に、事前に相談するよう呼びかけてきました。そして、安全保障上の影響をもたらす場合、風車の設置場所や高さの変更など、事業計画の変更を要請することがある、としています。
ただ、この事前相談の要請には法的根拠がなく、あくまで善意の協力が前提です。2022年以降、中国系のメーカーが日本市場に参入していることから、今後の外資系企業の参入に備えて、対策が必要とされていました。
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