《ニュース》

米世論調査会社のギャラップ社が、中国事業から撤退することを顧客に通知したと、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じました。

《詳細》

ギャラップ社は1993年以降、中国で企業のコンサルティング事業を行ってきましたが、世論調査については、中国では実施団体に対する厳しい規制があるため、行えない状況が続いていました。FTは関係者の話として、このほど中国からの撤退が顧客に通知されたことを報じています。

ギャラップ社は今年3月、アメリカ人のうち中国を好意的に見ている割合が「15%」で、1979年以降、最低を記録したと発表。この発表について中国の政府系メディアの環球時報は、「中国の信用を落とすためのツールになっている」などと批判していました。

中国当局は今年に入り、中国国内の外資系コンサルティング企業への圧力を強めています。3月には米ミンツ社を強制捜査し、現地採用の中国人5人を拘束。4月には米ベイン・アンド・カンパニー社でコンピューターや電話などが押収されました。当局は外国企業が重要データを中国国外と共有することが安全保障上の脅威となる危険があるとして、警戒を強めている模様です。

7月にはいわゆる「反スパイ法」が改正され、摘発の対象範囲が従来の「国家機密」に加え、「国家安全保障と利益に関する全ての文書・データ・資料や記事」へと拡大。アメリカ国務省は、何がスパイ行為かが明確に定義されておらず、不当な拘束を受ける可能性があるとして、6月30日付で、中国本土への渡航については再考すべきとの警告文を掲載していました。

すでに企業社員が「出国停止」となる例が出始めており、10月6日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版では、米リスク助言会社クロールの幹部や、野村ホールディングスの幹部も、犯罪の容疑者ではないにもかかわらず、出国できない状況になっているといいます。

《どう見るか》