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電気自動車(EV)バッテリーの原料であるリチウムを、中国企業がチベット高原で乱開発している実態について、チベット人研究者のグループ「ターコイズ・ルーフ」が報告書を発表しました。

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中国は1950年代以降、チベットを侵略していますが、その理由の一つに「鉱物資源の豊富さ」があります。リチウムに関していえば、チベット高原には中国国内のリチウムの約85%が眠っているとの研究結果が出ています。

同グループは、今年5月、チベット高原でリチウム採掘のために中国人投資家から土地をめぐり数千件の入札があったことを指摘。ところが地元のチベット人は「自分たちの牧草地が売りに出されていることも知らされず、土地の採掘について何ら相談もされていない」といった状況だったことを報告しています。

中国の採掘業者は、リチウムの抽出・加工をスピードと低コスト重視で行っているために環境汚染が深刻化しており、四川省のチベット自治州では川の魚が大量死するなどの影響も出ているといいます。こうした中、EVで世界シェアトップのテスラ社や、中国EV大手の比亜迪(BYD)などがチベットのリチウムへの依存度を高めていると指摘しました。

また、かつて地元の川や家畜に汚染が起きたために閉鎖されていた鉱山で、再び環境汚染を引き起こすような方法でリチウムの採掘・加工が行われている可能性が高いことを指摘。2013年と16年には、カム県の鉱山開発に対する抗議運動が「容赦なく弾圧された」ことも取り上げています。

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