震災後、アメリカの空母ジョージ・ワシントンとロナルド・レーガンの2隻が実質的に日本を防衛していたことを本欄で以前書いたが、その詳細について、国際ジャーナリストの日高義樹氏が新著『世界の変化を知らない日本人』でレポートしている。以下はその要点。
- 震災後、太平洋艦隊の司令官をハワイから横田に移し、可能な限りの米軍を日本周辺に展開。
- ロナルド・レーガンは仙台沖に到着と同時に、艦載機スーパーホーネットが出撃し、対北朝鮮・中国・ロシアに備え、日本列島北部の防衛体制を整えた。
- ジョージ・ワシントンは横須賀から長崎沖で軍事演習を実施。中国軍の前線部隊が跳ね上がり的に尖閣列島を占領することを懸念した行動だった。
- グアム配備中の無人偵察機グローバルホークが中国沿岸地域を偵察し、中国のミサイル部隊を監視した。西太平洋にいるアメリカの原子力潜水艦と潜水艦偵察機が中国の潜水艦に対する監視を強化。
- 米海軍偵察機P3Cが尖閣列島周辺をパトロールしていた。
日高氏によると、こうした救援活動名目の軍事作戦は、東シナ海や南シナ海で海洋権益を拡大する中国に対し、アメリカの世界戦略として「公の海の航行の自由を確保する」強い意志を示したものだという。
本来であるならば、震災時に中国や北朝鮮、ロシアに隙を見せないために、日本が独自でも防衛体制を整えるべきものだ。今回の米軍の軍事作戦から考えるならば、少なくとも原子力空母艦隊、無人偵察機、原子力潜水艦が必要ということになる。
原発事故の最中に言いにくいことではあるが、震災後に現実に日本の防衛をこれらの部隊が担っていたわけだから、真剣に検討すべきものである。(織)