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経済対策の補助金などを積み立てる国の基金残高が、2022年度末に16兆円を超えたことを、7日付朝日新聞が朝刊一面で報じました。

《詳細》

政府は、単年度の予算計上が難しい事業を行う際、独立行政法人や公益法人に国の補助金などを基金として積み立てて使います。これは、通常の予算と違い複数年度にわたって使えるという利点があります。

朝日新聞は、各省庁が2日までに公表した最新の行政事業レビューの資料を独自集計。その結果、22年度の基金数は約140で、残高の合計額は16.6兆円と、前年度12.9兆円からおよそ4兆円も増加したことが分かりました。特にこの3年間は、"コロナ禍からの経済回復を後押しする事業"に多用されたことなどにより、基金残高は19年度末から7倍も増加しています。

しかし、実際に使われた額は国の想定を大きく下回っています。例えば、脱炭素社会の実現を目指したものとされる「グリーンイノベーション基金」は、22年度に2640億円使う想定が、実績は632億円と、4分の1にとどまりました。他にも、「国内投資促進基金」は、5725億円の想定が2794億円、AIや量子技術などの研究開発を促す「経済安全保障重要技術育成基金」は、123億円の想定が3億円しか支出されていません。

さらには、22年度に事業を予定していた計約4.1兆円の事業のうち、実際に支出されたのは48%の約2.0兆円だったといいます。前年度も予定の4割の支出にとどまっていました。

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