《ニュース》

フィリピン沿岸警備隊はこのほど、フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海のスカボロー礁の南東部に中国海警局が設置した浮遊障壁(ブイとロープによる障壁)を撤去した、とする声明を発表しました。

《詳細》

フィリピン沿岸警備隊によると、フィリピンの船舶が22日に海洋パトロールをしている最中、スカボロー礁の南東入口を妨害するように海上に浮かぶ全長約300メートルの障壁を発見。この障壁に妨げられてフィリピンの漁船はスカボロー礁に入ることができず、操業できなくなっていました。

フィリピンの漁師は、「中国の船舶はこの海域にフィリピンの漁船が多数現れると、どこであっても浮遊障壁を設置している」と訴えたようです。

そこで、フィリピンのマルコス大統領の命令に基づき、エドゥアルド・アニョ国家安全保障担当顧問はフィリピン沿岸警備隊に対し、浮遊障壁を撤去するための特別作戦を実行するよう指示したといいます(26日の沿岸警備隊の声明)。

フィリピン沿岸警備隊の報道官であるジェイ・タリエラ准将は、この障壁は船舶の航行に危険をもたらすとし、「フィリピン国土の不可欠な部分であるバホ・デ・マシンロック(スカボロー礁)におけるフィリピン漁民の漁業と生計活動の妨げにもなる」と述べました。

2016年の南シナ海仲裁裁判所の判断で、スカボロー礁はフィリピンの漁師の伝統的な漁場であることが確認されています。タリエラ准将は「フィリピン漁民の生活を妨げるいかなる妨害も国際法に違反する。バホ・デ・マシンロック(スカボロー礁)に対するフィリピンの主権も侵害する」と指摘。また、障壁を撤去するという断固とした行動は、国際法とスカボロー礁の浅瀬に対するフィリピンの主権に沿ったものであると、主張しました。

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