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イタリアが中国による「一帯一路」構想に関する投資協定から離脱する方針を非公式に中国側に伝えたと、ブルームバーグが報じました。
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10日付ブルームバーグは匿名の関係者の証言として、インドで開かれているG20サミットに出席したイタリアのメローニ首相が、中国の李強首相に対して「一帯一路」に関する投資協定から離脱する方針を非公式に伝えたことを報じています。
イタリアは2019年、コンテ政権時代に主要7カ国(G7)構成国としては唯一、一帯一路協定に正式に署名。巨額の政府債務を抱える中、中国資本の誘致や中国市場へのアクセス拡大を期待してのことでしたが、実際には中国からの投資は減少、対中輸出も増えずじまいでした。一方、中国からの輸入は増えたため、イタリアの対中貿易赤字は協定締結前の2倍を超えています。
また、中国による人権弾圧への非難も高まっています。2021年に欧州連合(EU)は、中国政府によるウイグル弾圧に対する責任を追及し、対中制裁を発動。イタリア議会も2021年5月に、「深刻な人権侵害」と非難する決議を行っていました。
5月にはメローニ首相が、ローマで会談したマッカーシー米下院議長に一帯一路からの離脱を示唆していたほか、今月2日には、イタリア外務省のタヤーニ氏が訪中前、「一帯一路は過去の決定だ」と発言。経済的な成果が乏しいことを理由に、離脱を検討していると明らかにしていました。
イタリアは2024年3月に協定の更新を迎えます。メローニ政権は、年内に離脱するかどうかの最終決定をする見通しです。
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