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岸田文雄首相が、8月31日の「新しい資本主義実現会議」で、2030年代半ばまでに最低賃金を全国平均で時給1500円とする目標を表明しました。

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2023年度の最低賃金は22年度から4.5%増え、全国平均で1004円となる見通しとなりました。これまで政府が目標としてきた「1000円」を達成したことになります。

岸田首相は、「エネルギーや食料品価格が高騰する中、内需主導の経済成長を実現していくためには、『賃上げが当たり前となる経済』や投資促進がカギになる」と強調しています。仮に「2035年度に1500円」の目標を達成する場合は、毎年3.4%程度の引き上げを続ける必要があります。

一方、賃上げは人件費を押し上げ、企業のコストを増やします。エネルギー高騰や原料高などが続く中、価格転嫁ができず倒産する「値上げ難型」の物価高倒産が今年1~7月で23件と、昨年同期の倍増ペースで推移しているといいます。

8月28日に帝国データバンクが発表した調査結果では、コスト高を価格に「全て転嫁できている」という企業は全体の4.5%にとどまり、「全く転嫁できていない」企業が12.9%を占めています。平均的には、「100円のコスト増のうち、43.6円は売価に反映し、56.4円は企業負担」であるといいます。

同調査で「価格を全て転嫁できている」という企業は、「小売価格が設定されている(小売)」「自社の取り扱い商品が特殊で使用用途も限定的(機械)」など、有利な条件があると述べています。一方、「全く転嫁できていない」という企業は、「価格交渉を行う場合、契約の解除もある前提で交渉する必要がある(電気配線工事)」「取扱商品の競争が激しいため(小売)」などの事情を語っています。

ただでさえコストが上がっている中、価格を上げれば売り上げの減少や取引の打ち切りに繋がってしまうため、自社のコストカットなどで対応するほか、内部留保を使わざるを得ない状況となっており、岸田首相の"目標"は全くの机上の空論に過ぎません。

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