参院本会議で審査会規定が18日に制定され、ようやく憲法改正原案の審議から国民投票の実施まで、憲法改正に必要な制度が整ったにもかかわらず、衆参両院で委員の選任が進んでおらず、憲法審査会が開催できずにいる。

これは、民主党が委員選任を先送りしていることが原因だ。羽田雄一郎参院国対委員長は、18日本会議の賛成討論で「議論は政治的に安定しているときがよい。今はそうではない」、25日の記者会見で「震災や原発問題が収束に至っていない状況で、落ち着いた議論ができるかを考えるとなかなか難しい」と述べている。

それに対して、改正議論を活発にするために、民主党の小沢鋭仁前環境相、自民党の山本有二元金融担当相らが憲法改正手続きの緩和を目指す動きを見せている。来月にも超党派の議員連盟「憲法96条改正推進議論」を立ち上げるという。現憲法の96条で定めている憲法改正の発議の要件を「各議員の総議員の3分の2以上の賛成」から「過半数の賛成」に緩和するのを目指す。

5月2日から5日まで実施された日本経済新聞(電子版)によるアンケート調査によると、現行憲法の改正問題について、1187人中85.4%の人が憲法改正に「賛成」と答えている。さらに、「9条改正による自衛軍の保持明記」については8割超が支持。「自分の国を守る自衛隊の地位向上のためにも改正が必要だ」といった声が上がっている。

尖閣事件や北方領土問題など国防上の危機が相次ぐなかで、震災や原発事故で、現憲法に非常事態規定がないことも指摘されている。現憲法の問題点が浮き彫りになり、国民の意識も高まっている今こそ、改正論議を行うべきときであり、「安定しているとき」ではまたも平和ボケして論議が進むはずがない。(吉)

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【参考記事】もし憲法9条で国を守れるとしたら

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2045

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