2023年8月号記事

デジタル円は怖いぞ!

あなたの私生活がまる見えに

お札の代わりに、スマートフォンに入れた"国のアプリ"で買い物や貯金をする──。
そんな制度を、各国政府がつくろうとしている。
あなたの資産や買い物記録が事細かに把握され、課税、監視、行動のコントロールに使われる未来に、警鐘を鳴らした。


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現金が使えなくなる日が、訪れるかもしれない。

「デジタル円」の発行構想が進められている。日本銀行は2021年からすでに、発行に向けた実証実験を始めており、今年4月からその最終段階に入った。技術的に"目処"をつけつつあるようにも見える。

それと同時に財務省も有識者会議を立ち上げ、「デジタル円」発行時の制度検討に着手した。

政府側は建前上、「現時点で発行するかは決まっていない」と説明するが、一方で技術的にも制度的にも着々と"現物"をつくりあげている。


2026年発行説も?

「デジタル通貨(*)の開発・研究に多くの時間と資金を費やしてきた国は、投資を無駄にしたくないがために、何が何でも実現しようとする可能性が高い(サンクコストの誤謬)」

米シンクタンク・ケイトー研究所のニコラス・アンソニー氏は編集部の取材にこう語る。

金融ジャーナリストの和泉青氏も「日本は現在、『発行未定』という建前ですが、世界はデジタル通貨発行の方向に向かっています。このままでは欧米に付いていく形で、導入せざるを得ないでしょう」と語る。

現に欧州中央銀行(ECB)もデジタル通貨について、ラガルド総裁が導入時期を「26~27年」と明言するほど前のめりだ。今秋に発行するかどうか正式に決定するという。ここで発行が決まれば、日本も空気が変わり、「発行未定」の建前がなし崩しになりかねない。一説には、欧州に歩調を合わせ「26年頃には発行」との指摘もあるほどだ。

しかしデジタル通貨は、本誌でも警鐘を鳴らしてきた「監視国家」の"最終形態"と化す危険性がある。

(*)「デジタル通貨」には「電子マネー」「仮想通貨」「中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)」が含まれるが、本記事で断りなく「デジタル通貨」と記載する場合、最後の「CBDC」を指すものとする。そのうち、日本銀行が発行するものを「デジタル円」と呼ぶ。
※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。

 

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そもそもデジタル円って何?

COLUMN 現金という自由が消える!?