2023年8月号記事
AIが人間を淘汰?
AIがあなたの仕事を奪う時代がやってきた
期待とともに不安視する声も高まるAI。AIが雇用にもたらす未来を探った。
昨今、AI(人工知能)の進化が著しい。
米アルファベット(旧グーグル)傘下のディープマインドが開発したAI「アルファゼロ」が既存のソフトに圧勝し、世界最強の将棋、チェスのソフトになった。「勝率を最大限高める戦略を生み出せ」と命じられると、最も勝利の確率が高まる手を選択。その「圧倒的な処理能力」が型破りな勝利を導いたのだ。
米大学のMBA(経営学修士)やロースクールの試験、医師免許に合格するAIも登場。人の手によるものかと見紛う程の芸術作品もつくり出しており、もはや人間の作品と区別がつかない段階に到達している(下写真)。
人類が熱狂する「チャットGPT」
AIのばく進。それを感じさせるきっかけとなったのが、昨今、巷をにぎわす対話型AIである。とりわけ米新興企業オープンAIが昨年、文章などをつくり出す生成AIの「チャットGPT」を発表すると、月間アクティブユーザー数(*1)が1億人に達した。
米マイクロソフト社によると「一日に100億件ある検索の半分は、求める回答にたどり着けていない」という。「検索機能よりも便利で使い勝手がいい」ので、チャットGPTに乗り換えることにしたという声も聞かれるようになった。
マイクロソフト社がオープンAI社と技術提携したり、グーグル社が買収した英ディープマインド社とバード(Bard)(*2)を公開したりするなど、対話型AIの大競争時代が始まった。
では、AIは我々の未来をどう変えるのか。
「AIは私たちの暮らしのほぼ全てを改善する可能性を持っている」(米議会での証言)
このように無限の可能性を見出すのは、オープンAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマン氏。
これに対し、一定の警戒を示すのは米実業家のイーロン・マスク氏である。今年3月、本格的なAIが営利目的に使われるのは脅威だとし、AI技術の開発を一時停止するよう求める書簡を公開した。
(*1)ある期間のうちに1回以上利用があったユーザーのこと。
(*2)生成AIサービスの一種。
AI生成画像が世界的写真コンテストで最優秀賞を受賞
第一級の写真コンテストである「ソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)2023」にAIで生成された画像が出品され、クリエイティブ部門の総合優勝作品に選ばれた。
出品者は「AIの欠点が表れているのに、見破られなかった」「写真の未来について議論を巻き起こしたかった」として、受賞を辞退した。
(c) Boris Eldagsen. Courtesy Of The Sony World Photography Awards.
AIで4人に1人が仕事を失う!?
巨大IT企業は企業家の使命を放擲
AIに仕事を奪われないためにどう備えるべき?
Interview AIは人間の根源的なニーズを満たせない / 山内英治氏
Interview ピケティも気づいていない賃金が下がる本当の理由 / 西一弘氏