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港湾で操業している中国製の巨大クレーンが監視用ツールとして使われており、軍事機器などの情報を収集することに利用される可能性があるとみられていると、このほど米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えました。

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問題視されているのは、上海振華重工(ZPMC)製の貨物クレーンです。港湾施設の自動化が進む中で低価格を売りにシェアを拡大。世界シェアの7割を占めます(2018年3月港湾航空技術研究所の報告)。アメリカ国内のシェアは8割に及び、米軍が利用するバージニア、サウスカロライナ、メリーランド各州の港湾でも稼働しています。

同社のクレーンには、コンテナの出所や目的地を登録し追跡できる高度なセンサーが搭載されています。それにより、世界各地の米軍の作戦を支援するために輸送される物資に関する情報を、中国が入手できるのではないか、という懸念が高まっています。

米スパイ防止活動機関の幹部だったビル・エバニナ氏は、物資の移動を妨害しようとする人物がクレーンを遠隔操作できる可能性もあると指摘。通信スパイ活動への利用によりアメリカが輸出規制の対象としている華為技術(ファーウェイ)の通信機器を引き合いに、「クレーンは新たなファーウェイになり得る」と指摘しています(5日付米WSJ紙電子版)。

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