来年に迫ったアメリカ大統領選挙の共和党公認指名争いは、混戦が続いている。

22日には共和党内部からの人気があった、インディアナ州知事のミッチ・ダニエルズ氏が不出馬を表明。有力候補と見られていた、牧師出身で前アーカンソー州知事のマイク・ハッカビー氏、実業家のドナルド・トランプ氏も、これまでに出馬しない意向を表明している。

対する現職・オバマ大統領の支持率は、オサマ・ビン・ラディン氏殺害以来、数ポイント持ち直して50%を回復する水準である(ギャラップ調べ)。支持率が低迷し、経済政策への不満も渦巻いているとはいえ、共和党が有力な候補を立てられなければ、オバマ氏再選の可能性はさらに高まることになる。

25日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルでは、フーバー研究所研究員のシェルビー・スティール氏が、共和党はオバマ氏のもつカリスマ的なイメージを打ち破れていないと論じている。同氏によれば、「メディアは、共和党に対抗できる大統領の例外的な部分を強調している。バラク・オバマは、新しい進歩的なアメリカの象徴。対する共和党は、白人の男性が候補に並び、進歩がないように見える」。初の黒人大統領は現在でもアメリカン・ドリームの象徴であり、政策面でのつまずきがあっても、アイコンとしてのバラク・オバマはある程度健在であるわけである。

共和党候補者としては現在のところ、前マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏、前アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏、元下院議長のニュート・ギングリッチ氏などが挙がる。しかし、ロムニー氏は医療保険改革や妊娠中絶についての立場のブレ、ペイリン氏は北朝鮮と韓国を言い間違えるほどの勉強不足、ギングリッチ氏は過去の不倫問題が取り沙汰され、いずれも万全の候補とは言いがたい。

同盟国である日本の立場からすれば、強いアメリカ大統領の出現が望まれるだろう。しかし、結局のところはマキャベリの『君主論』にあるように、他力にすがるよりもまずは自らに恃み、国家としての首座を固めてこその同盟であるということになろう。

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