2023年3月号記事

監視国家があなたを狙う

自由で人権も守られているはずの国で今、「中国化」が進んでいる。


contents


監視カメラ、DNA収集、社会信用システム──

全てが中国共産党に筒抜け

AI(人工知能)監視国家と呼ばれる中国。これが日本の未来社会になる恐れも──?

中国が世界最大と言えるほどの監視社会であることは、広く知られている。政府が「治安対策」と称し、14億の人々を監視するために、さまざまなツールを用いている。

監視カメラに見つかって数分で逮捕

「行動をチェック」するのが、監視カメラや顔認証システム、電話トラッカーなどだ。5億4000万台超に上ると推定される監視カメラが中国全土に張り巡らされ、人々の行動を細大漏らさずチェックする(*1)。

2016年、四川省安渓鎮の住民がごみの山に火のついたマッチを置いたところ、屋外に設置されている拡声器から彼の名前と住所、そして「すぐ火を消すように」と叫ぶ大声が鳴り響いた。住民は恐怖で飛び上がり、急いで火を消して逃げた。その様子は監視カメラで捉えられていて、村の警備管理室にあるスクリーンで監視されていたのだ(*2)。

18年5月には、「歌神」と呼ばれる香港の人気歌手、張学友(ジャッキー・チュン)さんの大規模コンサートが浙江省嘉興市で開かれ、ある逃亡犯が会場に入った。しかし入り口のカメラに映り込み、逃亡犯だと特定されたため、数万人の雑踏の中から数分以内に逮捕された。

ただ、監視カメラでは、角度によっては身元を特定することは難しい。そこで中国当局は「電話トラッカー」と呼ばれる小さな箱を電柱などに設置。通行人の携帯電話に勝手に接続し、電話番号や位置情報などを確認できるようにしている。いわば「携帯の追跡装置」とイメージすればいい。これと監視カメラの映像を組み合わせれば、その人が誰かを瞬時に特定できる。

こうした方法も用いて、警察は昨年11月末に起きたゼロコロナ反対デモの参加者を一網打尽にし、少なくとも数百人が当局からの拘束や呼び出しを受けたと見られる。追随した人や見物人は警告で済んだケースが多いが、主導した人や積極的に運動した人は長期間拘束されている可能性がある。

(*1)2019年のIHS Markitの調査による21年時点の推定台数。
(*2)18年10月27日付米紙ロサンゼルス・タイムズ電子版

※文中に特に断りがない『 』内の書籍は、全て大川隆法・幸福の科学総裁、幸福の科学出版刊。

 

次ページからのポイント

採取したDNAで犯罪でっち上げ!?

「思想警察」が人間をランク付け

台湾の軍事専門家 王 彥麟氏インタビュー