2023年2月号記事

トヨタ、ホンダ、SHEIN……

ウイグル強制労働部品依存への厳しい批判

ウイグル強制労働を組み込んだサプライチェーン構築やゼロコロナ政策による厳しい統制など、習近平政権が行ってきた悪事が詳らかにされつつある。

もしあなたが過去5年の間に車を購入していたら、その一部は、ウイグル人の強制労働によってつくられた可能性が高い──。

そうした調査結果が、イギリスのローラ・マーフィ教授ら研究チームが2022年12月に発表した報告書(*1)で明らかになった。

研究チームは、新疆ウイグル自治区で自動車産業向けの材料を採掘、加工、製造している中国企業96社を特定した。そのうちメジャーなものを中心に、少なくとも38社は、中国政府が支援する強制労働プログラムへの関与を公表していたという。

(*1)シェフィールド・ハラム大学のローラ・マーフィ教授らが発表した報告書「DRIVING FORCE Automotive Supply Chains and Forced Labor in the Uyghur Region」

自動車会社とウイグル強制労働の密接な関係

これらの中国企業は自動車部品のグローバルサプライチェーン(供給網)に加わっている。独フォルクスワーゲン、米フォード・モーター、米ゼネラルモーターズ、独メルセデス・ベンツグループ、米テスラ、そして日本のトヨタ、ホンダなど、100社以上の自動車メーカーや自動車部品メーカーがウイグル地域とのサプライチェーン上の接点がいくつもあったと指摘している。

つまり、中国企業と何らかの関わりを持つほぼ全ての世界的な自動車メーカーは、ウイグル人など少数民族の強制労働によってつくられた原材料や部品を使った車を販売している可能性が極めて高いということだ。

 

次ページからのポイント

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