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国連の気候変動対策会議「COP27」において、地球温暖化が引き起こしたとされる自然災害の「損失と被害」への支援をめぐる、途上国と先進国の交渉難航が報じられています。

《詳細》

国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議がエジプトのシャルムエルシェイクで開催されています(記事執筆時点)。

同会議では途上国側の強い要請により、「損失と損害」への資金支援がCOP史上初めて正式議題となりました。途上国側は、先進国の温室効果ガス大量排出による温暖化によって、気候災害が増加し、社会基盤がぜい弱な途上国が甚大な被害を被っていると主張。その上で、130カ国余りの途上国と中国が共同で、復興などを恒常的に支援するための基金の設置を訴えました。

会議では今夏の豪雨で国土の3分の1が冠水したパキスタンのシャバズ・シャリフ首相が「我々の排出量は非常に少ないのに、何の関係もない人災の犠牲になった」と非難。ケニアのウィリアム・ルト大統領も干ばつによる飢饉の被害を訴え、「『損失と損害』はアフリカの人々にとっての日常的な悪夢だ」と演説しました。

国連のグテレス事務総長も、「『損失と被害』について疑念があれば、パキスタンに行くべきだ。そこに損失が存在する」として、大規模な支援を提言しました。

一方、巨額の資金拠出を警戒する先進国側は、新たな基金創設ではなく、既存の支援枠組みを活用することを主張。両者の交渉が難航し、18日に最終日を迎える予定だった会期が延長されました。

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