《ニュース》

米中間選挙が1週間後に迫る中、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが世論調査を行い、共和党の盛り返しを報じました(1日付)。

《詳細》

10月22~26日にかけて行われた世論調査の結果、「選挙が今日行われたとして、どちらの党を応援しますか」という問いに対し、民主党と答えた回答者が44%、共和党が46%であり、共和党が2%上回ったとのことです。

差異自体はそれほど大きくないものの、8月に実施された同様の調査で、民主党の回答者が3%多かった点を踏まえると、有権者の動きに変化が生じています。同紙は、民主党が争点にしてきた「人工妊娠中絶」の問題が、経済悪化・物価高騰によって脇に追いやられており、これが共和党への追い風になっていると分析しています。

また同紙の調査によると、共和党を支持するラテン系や女性が増えているとのことです。今回の世論調査に先立つ9月14日、同紙は共和党支持に回ったラテン系有権者への取材を通し、特にワーキング・クラス(労働者階級)において民主党離れが起きていることを詳細に報じました。

同記事では、信仰と家族の価値観に重きを置くラテン系有権者が、共和党に親和性を感じる一方、公立学校でLGBTQ教育などを進める「革新的」な民主党から距離を取る様子が描かれています。

さらに同紙のインタビューに対して、多くのラテン系有権者が国境での警備強化に支持を示し、それによって人身売買や薬物の密売などを防ぐことができると回答しています。例えば57歳の女性・フローレスさんは、2016年にトランプ前大統領が大統領選に出馬するまで、生涯を通して民主党支持者でした。しかし、国境警備の強化や人工妊娠中絶への反対、経済的自助努力の信念など、共和党の訴える価値観に共鳴し、支持政党を変えたのです。

トランプ氏がメキシコから国境を越えてやって来る人々を"強姦犯"や"暴漢"と呼んだことに関して、フローレスさんは、「彼が意図したのはカルテル(犯罪組織)のことです」と答えています(カルテルについては、21年7月号記事掲載の山中泉氏インタビューに詳しい。関連記事参照)。

今年10月には、米紙ニューヨーク・タイムズも一面で共和党の優勢を報道し、経済の悪化を受け無党派層の女性が共和党支持に傾いていると指摘しました。バイデン大統領への支持率も再び4割を切り、ここに来て日本各紙も共和党の躍進を大きく報じています。

選挙結果は最後まで分かりませんが、上院を巡って接戦が繰り広げられるなど、目が離せない局面を迎えています。

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