世界銀行は17日、2025年の世界経済を予測したレポート「世界開発の展望2011」を発表した。以下はその要旨。

  • 2025年までに世界経済の成長の寄与の半分以上は、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、ロシアの6大新興国によるものとなる。
  • 国際金融システムが単独の通貨により支配されることはなくなる。
  • 2011~25年までに新興国は年間平均4.7%で成長する。
  • 同期間に先進国の平均成長率は2.3%。
  • 2025年の国際通貨体制として最もありうるシナリオは、ドル、ユーロ、人民元を中心としたものだろう。

レポートでは、一応、「ユーロ圏、日本、英国、米国は引き続き世界経済の成長にとって重要な存在であり続ける」と、日本の重要性にも触れてはいる。

しかし、将来の基軸通貨候補として、円が入らずに人民元が入るのは、最近の経済予測のトレンドとは言え、やや安直な印象を受ける。どれだけ経済成長の勢いが強くても、政治的に共産党一党独裁国家で、しかも為替が変動相場制に移っていない国が、今後基軸通貨になることは考えにくい。民主化のプロセスを経なければあり得ないだろう。

その意味で、円の方が基軸通貨になりうる可能性の方が高い。もっとも、現在は民主党政権が日本経済にかなりのダメージを与えつつあるため、円の基軸通貨化は予想しにくいのは確かだ。政権交代した上での政治の安定化が必要だろうが、中国の民主化よりはハードルが低い。

少なくとも、ユーロや人民元よりは、円の方が将来性は高いと言えよう。(村)

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