《本記事のポイント》

  • 「敵の敵は味方」の時代へ
  • 結束を固めるBRICS
  • ロシアを中国側に完全に追いやり、世界の分断と経済的危機を招くバイデン政権

元航空自衛官

河田 成治

河田 成治
プロフィール
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。

紛争の長期化で危惧される2つの事態

(2)「敵の敵は味方」の時代へ

小麦輸出量世界1位のロシアは、今年は記録的な大豊作で食料事情においても優位に立っています。またロシアは資源大国であり、経済的に苦しみながらも資源外交を主導できる有利な立場にあります(天然ガス輸出1位、原油輸出2位、石炭輸出3位、ダイヤモンド生産1位、プラチナ生産2位、金生産3位、鉄鉱石生産5位、ウラン生産7位など)。

ロシアは、いままでアメリカに辛酸を嘗めさせられてきたと考えている「反米」諸国を中心に結束を図ろうとしており、加えてアメリカから距離を置く諸国家との経済的つながりを強化して、逆にアメリカの覇権の追い落とし戦略を推進しています。

「非友好国リスト」

3月7日、ロシアはプーチン大統領の大統領令に基づく「非友好国リスト」を発表しました。「非友好国」はウクライナ紛争以降、ロシア制裁に関連した国で、日本を含む48ヵ国(のちに53ヵ国)が指定されました。ロシア政府は、「非友好国」に対して、ロシア企業や個人が取引を行う場合には、ロシア当局の許可が必要になるなどの制限をかけることとしました。

結束を固めるBRICS

BRICS(ブリックス)とは、Bブラジル、Rロシア、Iインド、C中国、S南アフリカの5か国のことで、世界人口の約4割強、世界の国土の約3割、世界のGDPの約2割を占めます。外交・軍事面でも影響力を高めており、BRICSの5カ国は、欧米主導の国際秩序に対抗するため、毎年首脳会議を開いています。

BRICSは、国連によるロシアへの非難決議を棄権しました。プーチン氏はBRICS重視の姿勢を表明し、「ロシアは貿易を、ブラジル・インド・中国・南アフリカといった信頼できる国際パートナーに振り向けている」と語りました。

大川隆法・幸福の科学総裁が7月4日に収録した霊言で、プーチン氏守護霊は次のように語っています。「グローバリゼーションを止めて、ロシア的な価値観だって、もうちょっと広げて、もう一回、親ロシアの国を固めていくネットワークを作っていこうとは思ってるんで。まあ、日本はその板挟みになると思うけど、賢い舵取りをお願いしたいと思ってます」。

「非友好国」に指定された日本ですが、守護霊霊言にあるように、プーチン氏は本当の意味で日本を敵とは見なしていません。それを裏付けるものとして、ロシアからサハリン2を通じて天然ガスを輸入する日本は、継続してロシアから供給してもらえることになったことが挙げられます。プーチン大統領は、日本がアメリカの「金魚のフン」になることなく、正しい外交の舵取りをすることに期待をまだ失っていない表れではないでしょうか。

なお、6月27日に行われたBRICS首脳会議で、中国の習近平国家主席とロシア・プーチン氏は、西側への対抗姿勢を示してBRICSの結束強化を呼びかけています。

中国がロシア産石油の最大の輸入国になったことに加え、インドはこれまでの9倍の石油を購入、石炭の輸入も急増し、またロシア製最新兵器の導入も進め、軍事面でもロシアと一層関係を強化する意向です。

もっともインドは同じBRICSの中国を信頼しているわけではなく、ロシア接近には、「中国に対する保険」という意味合いがあります。インドのモディ首相の守護霊は、次のように語っています。

「ロシアとの関係を保っておかないと、中国と万一のときにアメリカが護ってくれるとは思えないんですよ、今のところ」(関連書籍『ウクライナ発・世界経済とアジアの危機』参照)。

またブラジルは、2022年1月から4月までの対ロ貿易額が輸出入ともに前年同期に比べて8割以上も増加しました。

このBRICSに、イランおよびアルゼンチンが正式な加盟申請を行いました。未確認ではありますが、トルコとエジプト、サウジアラビアも新たに参加を検討しているという情報もあります。

イランは2021年3月、中国からの約44兆円もの投資との引き換えに、イラン産原油を安価に輸出する戦略協定を締結しました。ロイターが3月2日に報じたところによると、この協定を受け、イランの石油の対中輸出が2021年12月に急増し、3年ぶりの高水準となる100万B/D超に達したとのことです。イラン産石油のほとんどを中国が購入していると見られています。

ロシアとも関係が強化されており、イランのライシ大統領は、2022年1月にロシアを訪問し、「イランとロシアが共闘してアメリカに立ち向かう時だ」と両国の連携強化を強調しました。7月19日には、プーチン氏がイランを訪問し、最高指導者ハメネイ師やライシ大統領と会談。「反米同盟」を強化し、イランが強く求めていた最新鋭戦闘機SU35や地対空ミサイルS400などを供与する模様です。

ロシアを中国側に完全に追いやり、世界の分断と経済的危機を招くバイデン政権

米英が中心となってウクライナへ支援を続けていくことは、世界経済をズタズタにし、また分断を深刻化させる元凶です。バイデン政権の外交により、世界の二分化(アメリカと同盟国、反米諸国)という図式が、時間の経過とともに強化されつつあります。

一方で、それに付き合わされる欧州では、エネルギー危機が深刻化しており、いずれかの時点でバイデン氏のアメリカの方針からの離反やアメリカの影響力の低下が予想されます。

他方、ロシアにも大きな痛みが伴います。結局、ウクライナ紛争は、欧米諸国の没落のきっかけとなりかねません。

大川総裁が6月30日に収録したメシア的宇宙存在ヤイドロン氏の霊言で、同氏は、新しい世界秩序が始まる可能性について、こう述べています。

「『第二次大戦史観』が終わろうとしているんだと思うんですよ。正義の仲間だった五人の白馬の騎士たちが分裂して、お互いに戦い始めているわけで、両者潰れていくんじゃないですか。今回は敵にされているロシアと、それからアメリカ、EUがそうとうダメージを受けて沈むというか、世界のリーダーの座から落ちていくと思います。でもそれでいいと思う。悪いことをもう五百年ぐらいやっていますから」

神の正義に基づく新しい時代を

現代の脅威はウクライナ紛争にとどまりません。それ以外にも、度重なる天災やコロナ禍、バッタの被害など、異常事態が立て続けに起きています。

また政治面でも激動が続きます。11月には台湾において統一地方選が行われます。ペロシ米下院議長の訪台以降、急激に圧力が高まる台湾ですが、その台湾の未来が左右されかねない重要な選挙になります。

同月にはアメリカは中間選挙を迎えますが、不利が伝えられる米民主党は、共和党候補者に大きな影響力を発揮するトランプ米前大統領へのFBIの家宅捜査を通じて、その影響力の封じ込めに入っています。今後の状況次第では、アメリカの一層の混乱も予想されます。

このように世界情勢は混迷を深めており、「一寸先は闇」という言葉がピッタリ当てはまります。世界のリーダーが明るい未来を明確に提示できない今、人類は謙虚に、虚心坦懐に神の御心を求め、「地球的正義」を打ち立てるべき時代に入ったと言えるでしょう。

【関連書籍】

小説 十字架の女(2)<復活編>

『小説 十字架の女(2)<復活編>』

幸福の科学出版にて購入

Amazonにて購入

ウクライナ発・世界経済とアジアの危機

『ウクライナ発・世界経済とアジアの危機』

幸福の科学出版にて購入

Amazonにて購入

ウクライナ問題を語る世界の7人のリーダー

『ウクライナ問題を語る世界の7人のリーダー』

幸福の科学出版にて購入

Amazonにて購入

いずれも大川隆法著、幸福の科学出版

【関連記事】

2022年9月11日付本欄 ウクライナ紛争が加速させる世界の分断【HSU河田成治氏寄稿】(前編)

https://the-liberty.com/article/19867/

2022年5月9日付本欄 ウクライナ紛争でロシアはなぜ核使用をほのめかすのか 紛争をエスカレートさせ世界大戦への序曲にしてはならない【HSU河田成治氏寄稿】

https://the-liberty.com/article/19499/

2022年8月14日付本欄 ペロシ米下院議長の台湾訪問という愚策【HSU河田成治氏寄稿】(前編)

https://the-liberty.com/article/19787/

2022年9月号 国民を死滅に追いやるゼレンスキー大統領 - Part 1

https://the-liberty.com/article/19731/

2022年9月号 国民を死滅に追いやるゼレンスキー大統領 - Part 2 西側が支援するほどウクライナは領土を失う

https://the-liberty.com/article/19730/

2022年9月号 国民を死滅に追いやるゼレンスキー大統領 - Part 3 国を滅ぼす大統領は最悪である

https://the-liberty.com/article/19729/