《本記事のポイント》

  • タブー視されたバイデン氏の「年齢問題」が議題に上り、政権内のカオスも報じられる
  • 対ウクライナ方針を巡っても、リベラルメディアがバイデン氏と距離を取る
  • 日本政府は"泥船"に乗って国民を道連れにしないよう、懸命な判断をすべき

11月に中間選挙を控えるアメリカで、これまでタブー視されてきたジョー・バイデン大統領の「年齢問題」に焦点が当たり始めている。

リベラルメディアを代表するニューヨーク・タイムズ紙は今月11日、「バイデン氏は2024年に出馬すべきか?民主党からの『ノー』という囁きが上がりつつある(Should Biden Run in 2024? Democratic Whispers of ‘No' Start to Rise)」と題した記事を大きく掲載。50人近くの民主党関係者に取材し、そのうちほぼ全員が、高齢である大統領に関して、健康などの状態に「深い懸念」を示したと記した(インターナショナル版は14日付)。

ドナルド・トランプ前大統領への批判を繰り広げてきたリベラルメディアの米アトランティック誌も、ニューヨーク・タイムズ紙に続く形で16日、「なぜバイデン氏は2024年に出馬すべきでないのか(Why Biden Shouldn't Run in 2024)」と題したマーク・レイボヴィチ氏による記事を掲載し、次のように論じた。

「単刀直入に言わせてもらえば、バイデン氏は2024年の選挙に出馬すべきではない。彼は高齢過ぎる。バイデン氏は今年11月20日には80歳になり、二期目に突入したとすれば82歳だ。そこから数字はさらにバカバカしいものになっていく」

「私はここ数週間、この狂気と分断の中にあるアメリカで、大統領の近くで過ごしてきた公式・非公式の政権アドバイザー10人と会話をしてきた。(中略)彼らは、(アメリカで起きている問題に対して)バイデン氏はほとんどの場合においてうまく対処していると答える。(中略)しかしもうひとつ、大統領に好意的な人々から繰り返し聞く話題がある。『彼(バイデン氏)は年をとっているように見える』。数週間前、ある政権幹部が社交場で私に言った」

「バイデン氏は2024年(の出馬)から身を引くことで、即座に自身の遺産を磨きあげることができるだろう。彼は引退すべき時を知り、自身より党と国の利益を優先させ、無私の心で次の行動に移ったことを称賛されるだろう。(人々の)感謝が続き、もしかすると彼が取引をしてきた共和党員たちからも感謝を受けるかもしれない。誰しも、長老政治家を愛している」

一連の報道は米国内で注目を集め、CNNの著名司会者ブライアン・ステルター氏は19日に放送された自身の番組で、同社のホワイトハウス特派員であるジョン・ハーウッド氏に次のように投げかけた。

「マーク・レイボヴィチ氏によるコラムを見てみましょう。ご存じのようにアトランティック誌のトップ・ライターが、バイデン氏が再選に出馬すべきではないと言っています。(FOXニュースの人気司会者である)ショーン・ハニティ氏が、バイデン氏の年齢について話しているのではなくて、アトランティック誌が言っているんです」

これまでバイデン氏の心身の健康状態に口を閉ざしてきたリベラルメディアが、突如「年齢」を問題視し始めている。

なぜ"タブー"が破られたのか

リベラルメディアによる"手のひら返し"を読み解く上で参考になるのが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説だ。

同紙は21日、「破られたバイデン氏の年齢タブー(Breaking the Biden Age Taboo)」と題した社説でこう論じた。

「民主党はなぜいま、対応を変えているのか。その明白な答えの一つは、世論調査でバイデン氏の支持率が低下していることであり、その支持率の低さのせいで11月の中間選挙では民主党が議会での支配を失う可能性があるためだ。(中略)トランプ氏から民主党を救ったにもかかわらず、いまや政治的重荷となって使い捨てられようとしているバイデン氏に対して、人々は同情に近い感情を抱かずにはいられないだろう。バイデン氏がスタッフに対して怒鳴るのが聞こえてくるようだ」

「2024年の大統領選に向け、民主党内にバイデン氏に代わり得る明らかに有力な候補がいないという事情が、バイデン氏に引退を迫ることをさらに難しくするだろう。カマラ・ハリス副大統領は、間髪を入れず立候補に意欲を示すだろうが、国政の表舞台に立ってからのハリス氏のこれまでの言動はすべて、大統領にふさわしくないことを示唆している。民主党はそれを認識している」

「これが、バイデン氏の大統領としての能力の検証をあまりにもなおざりにしたまま同氏を候補者に指名することの代償だ」

リベラルメディアおよび民主党陣営はトランプ前大統領を引きずり下ろすため、バイデン氏を対抗馬として担ぎ上げたが、肝心の大統領としての能力を十分に検証しなかった。

結果として、アフガニスタン撤退における大失態や、新型コロナウィルスの感染拡大、ガソリン価格の高騰などによる激しいインフレなど内政外政共に失策が続き、バイデン氏の支持率は昨年8月以降、急落。ついに36%と4割を切った(22日公表のロイター/イプソス調査)。

11月8日に行われる中間選挙では民主党が大敗すると予想され、上下両院で過半数を失う可能性も指摘されている。

こうした最悪のシナリオを回避すべく、民主党陣営がバイデン氏を"切り離す"戦略に出ていることがうかがえる。

バイデン政権内の"カオス"も報じられる

年齢問題に先立ち、バイデン政権内のカオスも既に報じられている(関連記事参照)。

リベラル寄りのNBCニュースは5月31日、政府職員(元を含む)や政権に近い民主党議員など20人以上に取材したとして、「バイデン政権内の漂流(Inside a Biden White House adrift)」と題した独自記事を掲載した。

この中では、バイデン氏が上がらない支持率にいら立ち、自身の部下や民主党議員との亀裂を深めていることが示されている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が上記の社説で「バイデン氏がスタッフに対して怒鳴るのが聞こえてくるようだ」とあえて述べたのは、こうした政権内の様子を踏まえてのことかもしれない。

ウクライナを巡っても、リベラルメディアがバイデン氏と距離を取る

ウクライナへの関与を巡っても、本欄で報じてきたように、ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙などリベラルメディアが、バイデン氏の方針と明確に距離を取り始めている(関連記事参照)。

例えば米ニューヨーク・タイムズ紙は5月19日、社説で「交渉による和平がウクライナに厳しい決断を求めるものであったとしても、ロシアとの全面戦争に飛び込むのはアメリカにとって得策ではない」と、ウクライナによる領土割譲を踏まえた議論を展開。

同月26日にも、ウクライナに冷静な戦況認識を求める記事を大きく載せ、バイデン氏が掲げる落としどころの見えない対露強硬姿勢から一歩引いた形だ。

日本政府は"泥船"に乗って国民を道連れにしないよう、懸命な判断を

日本政府は特にウクライナに関して、バイデン政権と運命を共にするかのような積極的な支援を示している。日米首脳会談を控える5月19日、岸田文雄首相はウクライナへの財政支援として合計6億ドル(約800億円)の借款を表明した。

日米首脳会談に先立つ4月には、今年1月の時点で「レンドリース(武器貸与)法案」を上院で提案していた米議員らが連れ立って訪日。岸田首相を表敬し、日米両国のさらなる連携強化が話し合われたという。

しかし、バイデン氏を支援してきた米リベラルメディアが"撤退戦"に入る中、気づけば日本だけが「梯子を外された状態」になる可能性を考える必要がある。

大川隆法・幸福の科学総裁は『ウクライナ問題を語る世界の7人のリーダー』のまえがきで、次のように警鐘を鳴らす。

『ノーモア広島』は米国に言うべきであって、ロシアに言うべきことではない。竹島、北方領土、尖閣諸島の日本主権も護れなくて、ウクライナがこれから作る百兆円以上の財政赤字の責任を押しつけてくるのを喜んでいるピエロにしかみえない

"泥船"に乗って日本国民を道連れにしないよう、主権国家としての智慧が求められる。

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