《ニュース》

ウクライナ東部で戦うウクライナの志願兵(領土防衛隊)が、「自分たちは上官から見捨てられた」と考えており、ロシアの猛攻に立ち向かっているというウクライナ政府が発信する"善戦"という見方を否定するような記事を、米紙ワシントン・ポストがこのほど報じました。

《詳細》

ワシントン・ポストは、東部の前線に送られた兵にインタビューを行い、「見捨てられたと感じる東部のウクライナ志願兵たち」という見出し記事を掲載。同紙がウクライナ軍の苦境を伝えるのは初めてであり、米主流派メディアとしても初出ではないかと指摘されています。ウクライナ軍のセルヒ・ラプコ中隊長らに取材した記事には、こう書かれています。

「ロシア軍が東部の重要な戦線で大砲や多連装ロケット砲で攻撃する中、ウクライナ志願兵は塹壕(ざんごう)に閉じこもり、1日1個のジャガイモで生きている。多勢に無勢で訓練を受けず、軽火器しか持たない彼らは、砲撃が終わり、自分たちの戦車がロシア軍を標的にするのをやめるよう祈っていた」(※ウクライナの戦車がロシア軍を攻撃すれば、部隊の居場所が把握されるため)

「ウクライナの指導者たちは、ロシアの猛攻に立ち向かう志願兵や正規軍の勝利という、軍の不死身イメージを世間に植え付け、育ててきた」「ロシアのようにウクライナも、死者や負傷者、装備品の損失についてほとんど情報を提供していない。だが戦争から3カ月が経過し、120人にいたこの中隊は、死傷者や脱走のために54人まで減少している」

「ロシアが2月24日に侵攻するまでは、志願兵は民間人であり、ウクライナ東部の最も危険な前線の一つに派遣されるとは予期していなかった。彼らはすぐに戦争の矢面に立たされたと気づいた。軍の上官から見捨てられたと感じながら、生き残るために必死だった」

「犠牲者数は部隊や一般市民の士気を守るために、ほとんど秘密にされている。『ウクライナのテレビでは、犠牲者はゼロと報道されている』とラプコさん。『真実は何もない』(と彼は語った)」

この志願兵がインタビューに答えた後、ウクライナの保安局が彼らを「脱走の容疑」で拘束し、ラプコさんの指揮権がはく奪されたと、ワシントン・ポストは最後に補足しました。

記事について、「これはアメリカが助成している外国軍のPRスピン(※情報操作の意味)と秘密主義に穴を開ける主流の出版物での初めての記事かもしれない。ワシントン・ポストの取材に応じ、極めて厳しい実態を話した後、2人の指揮官が逮捕された」とジャーナリストのマイケル・トレーシー氏が5月27日にツイートしました。

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