2022年6月号記事

地域シリーズ 北海道

現地ルポ

北海道は中国とロシアとこう付き合おう!

変転する国際情勢の中で北海道の舵取りは非常に難しくなっている。
北海道は中国とロシアとどう付き合うべきなのか。

これ以上、中国に北海道の土地を侵させない

今、別荘やリゾート地、森林・水源地、自衛隊基地や飛行場の周辺など、北海道の広大な土地が中国資本に爆買いされている。

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現地で取材を進めると、札幌市在住の男性が、「コロナ以前は、多くの中国人観光客が札幌狸小路商店街で爆買いしていました。建設中の狸小路の超高層ビルには中華街構想があるとも言われています」と、場所を教えてくれた(右写真)。「中華街構想」とは、同ビルの地上1階から6階まで中国系飲食店が入る構想のこと。その実現に向け、中国人民解放軍の元軍人が中心になって動いたとも指摘される。同ビルの居住エリアに多くの中国人が入居するのではないかとの懸念も浮上している。

北海道各地に住む複数人に話を聞いたところ、「中国資本が北海道の土地などを買収しているとよく聞くが、実際には誰が買っているのか分からない。中国は本当に知らない間に、北海道に侵食している」(根室市在住の後藤大己さん)というのが実態だという。

十勝音更町の町議会議員である阿部秀一氏(幸福実現党)は、「トマムや富良野、ニセコや新千歳空港近く、余市のキャンプ場など、さまざまな地域で中国資本の買収が進んでいると聞いています。ただ、『買ってもらえれば、地域が活性化する』という報道はあるものの、今のところ議会では全く話題にのぼりません」と指摘する。

中国資本の進出が進むニセコ・倶知安

続いて、上質なパウダースノーで有名なスキーリゾート、ニセコ・倶知安に向かった。取材に同行してくれた小樽市在住の小川さくら(仮名)さんは「この地域は中国資本の進出が多いことで有名です。2030年には北海道新幹線も通る予定で、交通の便もよくなります」と語る。

同じく取材に同行してくれた相馬正さんは、ニセコに向かう途中にある余市郡赤井川村のキロロリゾートを車でぐるりと回りながら、「ここのオーナーはタイの不動産会社でしたが、最近、中国資本に売却されました」と説明。星野リゾートトマムを買収した中国の投資会社「復星集団」傘下の資産管理会社がキロロリゾートのスキー場とホテルを買収したという。

ニセコ積丹小樽海岸国定公園に到着すると、小川さんは公園横にあるフェンスを指さし、「この土地は中国資本に買い取られました。見ての通り、木が伐採されたため、水害が生じたそうです」と教えてくれた(写真1)。

続いて倶知安町花園地区にある5つ星ホテル「パークハイアットニセコHANAZONO」へ(写真2)。同ホテルは香港の不動産会社「パシフィック・センチュリー・プレミアム・ディベロップメンツ(PCPD)」が運営しており、アジア有数の大富豪・李嘉誠氏の次男である李沢楷氏がPCPD代表を務める。

李沢楷氏は、中国の習近平国家主席の母校である清華大学の経済管理学院諮問委員に就任。習氏と北京の人民大会堂で面談するなど、習政権と近い関係にあると見られる。

ニセコ開発の中心エリア、倶知安町ひらふ坂を訪れると、新築住宅や店舗の近くに見えてきたのは、香港の不動産会社「メトロポリー・ホールディング」による大型複合施設「アルクザカストリート」の建設予定地だ(写真3)。コロナの影響で工事開始を延長しており、一面が雪に覆われていた。中国系資本が入り、地域活性化につながっているかと思いきや、「人が全然いないのが、気味が悪い」(相馬さん)。

またニセコ町曽我地区では、中国資本の「SPACE SAIL」が地元の建設会社に依頼した大型賃貸住宅が建設作業中だった(写真4)。居住者のターゲットはホテル清掃業者や季節労働者だという。小川さんと相馬さんは「中国資本でも日本の不動産会社を通すと分からない」と怪訝な表情を浮かべる。隣接地では中国系不動産開発会社「ヴァージニア」が大規模ホテルの建設を進めている。

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1 ニセコ積丹小樽海岸国定公園横の中国資本に買収されたという土地。
2 香港資本が運営する5つ星ホテル「パークハイアットニセコHANAZONO」。
3 香港企業が開発する大型複合施設「アルクザカストリート」の建設予定地。
4 中国資本の大型賃貸住宅。

 

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