2021年に大麻関連の事件で摘発された20歳未満の少年は前年比12.1%増の994人で、過去最多だったことが、警察庁の統計でこのほど分かった。

薬物には、コカイン、マリファナ(大麻)、ヘロイン、LSD、覚せい剤などがある中、近年最も増えているのが、大麻事件である。特に20代や未成年の検挙者の急増が目立っている。

警察庁の調査によると、大麻で検挙された人の約8割が、「大麻には身体に悪影響を及ぼさない」という認識を持っているとのこと。若者の間で大麻の危険性が十分に知られていないことが増加の要因の一つとされ、警察庁は今年1月から、若者の目につきやすい動画投稿サイト「ユーチューブ」に広告を載せ、大麻による悪影響を訴えかけている。

大麻は"普通の若者"にまで浸透していた!

20代以下の多くの若者がコロナ禍で思い通りの学生生活が過ごせなかったり、都会の競争社会で過度なストレスを感じていたりすることもあり、思いのほか、麻薬とは縁遠そうな"普通の若者"の間にも、大麻が広まっている可能性がある。

果たして、警察庁の統計などの数字に含まれていない、水面下で大麻を使用している学生や青年はどれだけいるのだろうか。有名私立大学の20代女性はこう語る。

「大学の友達に聞いた話ですが、普通に大麻などをやっているらしいです。違法なので詳しくは聞けなかったですが、裏で服用している可能性はあると思います」

日本でも比較的容易く入手できる大麻

大麻が若い世代に広がっている原因として、「価格が覚せい剤の10分の1程度」「SNSで手に入りやすい」という理由に加え、「大麻は海外の映画や音楽シーンに登場していて、『おしゃれでかっこいい』」「大麻は依存性がなく、他の薬物より安全」などのイメージを持っているためだと考えられる。

映画化もされた小説『下妻物語』の著者であり、大麻取締法違反で2度逮捕された経験がある嶽本野ばら氏は、社交的な交際をきっかけに大麻に触れ、好奇心に負けて服用するようになったと語る。

「常習は作家になって急に交際範囲が広がったことから、色々な集まりに誘われるようになり、そこで大麻を吸う人と知り合うことになりました」「僕が10代のころは音楽でも文学でもドラッグを崇拝する内容のものが多かったのです。特に海外のものはそうで、その憧れが『自分も経験したい』という好奇心につながりました」(警視庁のウェブページに掲載されている「No More 大麻」より)

先述の通り、近年ではSNS上で麻薬の売買が行われるようになり、普通の若者でも大麻や覚せい剤を容易く入手できるようになった。ツイッター上には、薬物関連の隠語を使って麻薬売買の告知を拡散している投稿が目立つ。例えば、「#アイス」は覚せい剤、「#野菜」は大麻、「#手押し」は対面で直接取引することを意味するという。

日本は、アメリカのような麻薬社会になってはいけない

日本より麻薬が蔓延しているアメリカでは、麻薬は大きな社会問題になっている。

記者がアメリカの西海岸にある高校に通っていたころ、大麻を服用している友達は周りに複数人いた。大学では、大麻を乱用している人数が増えたと同時に、コカインやLSD、マジックマッシュルームという麻薬成分を含んだキノコにまで手を出している学生の話も耳にするようになった。何度か誘われたが、「ごめん、ドラッグはやらない」と断ると、「一度もやったことないの?」と驚かれたことがある。

また、アルバイト先では、見るからに不健康そうなホームレスの男性が「アルミホイルをくれ」と店に入ってきた。奇妙だったので店長に伝えると、店長は「アルミを渡すな。彼はヘロイン中毒者なんだ」と言う。「申し訳ないが、アルミは渡せない」とホームレスに伝えると、怒って店を出ていった。初めてヘロイン中毒者を目の当たりにした経験だった。

この地域はアメリカの中でも治安が良く、学校の学力レベルも国の平均より高かった。それでも麻薬が至るところで使われているということは、貧困率が高い犯罪都市などでのドラッグ乱用は、より深刻だと考えられる。

実際に、アメリカの成人人口の5%が「薬物依存・薬物乱用」に陥っている一方、全米の刑務所の収容者数のうち、3分の2が薬物依存及び薬物乱用であるという(「Prison Policy Initiative」より)。さらに、薬物依存は精神病を招く危険性が高い。アメリカでは薬物乱用者の人数のうち、半数以上は強度の精神病を1つ以上抱えているという(「Journal of the American Medical Association 」より)。

また、アメリカでは、過去35年間で男性の薬物事件が48%増加している中、女性による薬物事件は216%も増えている。警察庁の統計によると、日本の事例として、冒頭で紹介した大麻事件の摘発者994人のうち、9割は男性だ。日本では現時点で男性による麻薬乱用が大半を占めているが、このまま日本も麻薬社会への道を進んでいけば、今後女性の"ドラッギー"も増える可能性が高いだろう。

苦しみから逃れるには、「永遠の生命」を知ること

大麻や他の麻薬の乱用者の話を聞くと、口を揃えて言う台詞がある。

「ハイになった時の"この世ならざる"感覚が気持ち良い」

確かに、大麻には幻覚作用があり、服用すると非現実的な空間の中にいると感じられることがある。肉体的な快感を味わえたり、日々のストレスから解放される気持ちになったりするかもしれない。しかし、麻薬は一時的な現実逃避にしかすぎない。

大川隆法・幸福の科学総裁は2月25日、法話「苦しみの世界」で、麻薬にはまってしまう人の傾向性について、このように述べている。

人生を非常に刹那的というか狭い範囲で見て、自分自身を真正面から見つめるのは嫌で、そこから逃げ出したい、社会から逃げ出したい、あるいは社会の義務から逃げ出したい、責任から逃げ出したいと、こういう人がやっぱりはまっていきやすいんではないかなと思います

麻薬が及ぼす幻覚作用は一種の霊体験のようなものなので、"この世ならざる"感覚に浸りたい気持ちも分からなくない。しかし、大川総裁いわく、霊的に見ると、麻薬を使って理性を麻痺させているのと同時に、「霊子線(シルバー・コード)」というものも麻痺しているというのだ。

人間の魂と肉体は、この「霊子線」という霊的な糸で繋がっている。霊子線が麻痺すると、魂が遊離しやすくなり、霊界を見ることもあると言われている。しかし、大川総裁は、「地獄的な世界を見る人もそうとういる」(*1)とし、「やはり、理性を麻痺させて"よい"ことというのは、『悪霊が憑きやすい』ということでしょう」(*2)と霊的な視点から、麻薬の危険性を訴えている。

人間が、人間としてより善く生きるには、肉体的な快感を求める気持ちや、「ストレスから逃れたい」という動物的本能から離れる努力がいる。この世に生きていく上で生じるさまざまな"苦しみ"について、大川総裁は「永遠の生命」という観点から言及した。

仏教で言ったとおり、苦しみの世界は、現実にあります。そこから逃れる方法は何かっていうと、自分の生命の実相は、やっぱり、永遠の魂だということですね」「苦しみの世界を、この地上から、完全に消すこともできなければ、この地上の世界で、完全にここから逃れることもできません。ただ、永遠の生命として、いかに自分は生くべきか、ということに真正面から向き合うようになったときに、自分自身の人生を、自分で切り拓いていかねばならんのだということに、気づくことになると思うんですね。それが、すなわち、苦しみの世界からの解脱、抜け出すことになるんではないかと思います 」(法話「苦しみの世界」より)

日々やるせない想いもあるだろうが、数十年の人生を超えた「永遠の生命」があると知り、「今だけ楽しければよい」という"逃げの人生"を考え直してみるのはどうだろうか。

"この世ならざる"体験をしたいのならば、寝る前や休日にまとまった時間を取り、スマートフォンなどの機械類から離れ、瞑想などの精神修養法を行うべきだろう。瞑想とは、心を整えて、この世を去ったあの世の世界、実在界の世界との交流をできるような状態になることである。真の幸福感は、神仏に対する信仰心から生まれる。アメリカのような麻薬社会を反面教師とし、麻薬は"邪道"であることを知り、「この世でいかに生きるべきか」について真正面から向き合うことが求められる。

(*1)『真のエクソシスト』
(*2)『エクソシスト入門』
いずれも大川隆法著、幸福の科学出版

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