《ニュース》

国際ニュース通信社ロイターは、「台湾奪取を目指す中国は、平時ではないものの、軍事衝突とも言えない『グレーゾーン』戦略に乗り出している」と指摘し、軍事専門家らへの取材に基づき、6つの台湾有事シナリオについて報じました(11月30日付電子版)。

《詳細》

ロイターの報道によると、台湾奪取のために中国の習近平政権が取りうる選択肢には、台湾の離島制圧、台湾本島の封鎖、全面侵攻が含まれています。台湾やアメリカ、オーストラリア、日本の軍事専門家や現役・退役軍人25人以上にインタビューを行い、考えられるシナリオのいくつかを検証したといいます。

「シナリオ1」は馬祖島(ばそとう)封鎖。馬祖島は、中国・福建省から最も近い島で約1万3500人が暮らしています。中国軍は水上艦と潜水艦などで馬祖島を取り囲み、封鎖するというシナリオです。

「シナリオ2」は金門島の侵攻。金門島は、中国の廈門(アモイ)市の沖合6キロに位置し、台湾が実効支配する島。中国軍が金門島の台湾軍事司令部や兵舎、主要インフラを砲撃し、ミサイル攻撃するというシナリオです。

「シナリオ3」は物流と往来の分断。中国は、台湾の空域や港に出入りする際には中国の正式な許可が必要だと、全ての航空会社と海運会社に通知。中国の艦隊や戦闘機が、当局の許可なしに台湾に近づく船舶や航空機を阻止し、攻撃準備を始めるというシナリオです。

「シナリオ4」は台湾完全封鎖。中国は、中国海軍と海警局以外の船舶が台湾周辺海域に侵入することを禁止。投降を拒否した台湾軍艦艇は沈められます。中国軍は台湾周辺に艦艇や戦闘機を配備し、米軍の対応力を削ぐために在日米軍基地も攻撃するというシナリオです。

「シナリオ5」は大規模空襲作戦。中国軍は警告なしに、台湾の飛行場や湾港、政府庁舎、発電所、軍司令部、海軍基地、主要艦艇などを大規模に砲撃攻撃するというシナリオです。

「シナリオ6」は全面侵攻。台湾の主要な軍事・民間施設に対し、大規模な空襲、ミサイル、サイバー攻撃を実行。同時に在日米軍基地とグアムの米軍基地に対しても、空爆とミサイル攻撃を行うというシナリオです。

《どう見るか》