2021年12月号記事

ニッポンの新常識 軍事学入門 17

台湾有事と中国の在留邦人


社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

日本安全保障戦略研究所研究員

邱 伯浩

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(チョウ・ボハオ)1967年生まれ。台湾出身。陸軍軍官学校、国防大学陸軍参謀学院、国防大学政治研究所などを卒業。政治学博士。現在は日本安全保障戦略研究所研究員を務める。

アフガニスタンの軍事クーデターをめぐり、自衛隊が在留邦人を1人しか救出できなかったことが問題視されています。幸いなことに今回は"致命傷"を負いませんでしたが、台湾有事ではそうとはいきません。

外務省によれば、台湾には、日本人約2万4000人が住んでおり、観光客やビジネス客が常時行き来しています(昨年10月1日時点)。中国が台湾を侵攻したら、日本政府は彼らを救出しなければなりません。しかし憲法の問題や自衛隊の装備をみると、非常に難しいと思います。

中国に11万人の日本人が居住

そうした中、日本政府や多くの防衛関係者が口を閉ざしているのは、「中国に住む日本人約11万人をどう救出するのか」という問題です。中国の邦人は台湾よりはるかに多く、結果的に見捨てられるという状況になりかねません。と言うのも、中国はほぼ確実に、そうした状態になるよう非常に姑息な手段に出るからです。

例を挙げると、中国IT企業のファーウェイです。カナダ当局が2018年に同社の副会長を逮捕しました。直後に中国は、カナダの企業家らを拘束し、人質外交を展開したのです。