2021年9月号記事

ルーズベルトとチェンバレンの失敗を教訓とすべき

アメリカは自由と民主の旗手たれ

拝啓
バイデン大統領 殿


内政的には民主党内左派が力を持ち、外交面でも台頭する中国の脅威に大統領のリーダーシップが求められている。

大統領は、今後何を教訓としていくべきか──。編集部から大統領にメッセージを贈る。


大統領は「分断」を癒し、アメリカ国民を一つにすると、国民の結束を訴えておられます。

しかし「格差」がある限り、結束を実現できないとして、富裕層は「公平な負担」をすべきだと強調しています。

このような論調を見ていますと、大統領は民主党内左派の影響を強く受け、「増税案はレッドライン(超えてはならない一線)」とする共和党と真っ向から対立しておられるように見受けられます。

ばら撒くと傷つくのは庶民

大統領は、企業や富裕層からの税収を再分配するので、一般庶民への影響はないとします。

しかし法人税の5割から7割を負担しているのは労働者ですから、従業員の賃金に影響するのは間違いありません。

また高所得者に対するキャピタルゲイン増税(*1)によって一番苦しむのは、富裕層ではなく、実は貧困層です。資本家が企業への株式投資を減らすと、企業家にお金が集まりにくくなり、事業に投下される資本が減ります。すると、従業員がスキルや技術を高める機会が減り、賃金が下がり、貧困から抜け出せなくなるという悪循環に陥ってしまうからです。

(*1)株式や不動産、有価証券の譲渡による所得に対する課税。

 

次ページからのポイント

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