ビジネスの世界では、同じ商品やサービスを扱っているのに、売れる人と売れない人がいる。数多くの営業マンを救ってきたカリスマは、そうしたよくある売れない悩みについて、どう答えるか(2019年3月号「人が育つ現場の秘密 『勝ちグセ』営業組織のつくり方」のインタビュー記事を再掲)。

 

【悩み】 営業部に配属されて1年弱。配属当初はやる気に満ちていたものの、断られ続ける日々に心が折れそうです……。そもそもアポイントが取れないため、訪問スケジュールも真っ白。上司の目を避けるように喫茶店で時間をつぶす日々に、限界を感じています。

 


営業プロデューサー

中村 信仁

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(なかむら・しんじ)1966年、北海道生まれ。株式会社アイスブレイク代表取締役。高校卒業と同時に、外資系出版会社ブリタニカに営業として入社。入社初年度から世界トップテンに名を連ねる。22歳で起業し、現在は全国で「永業塾」を主催。『営業という生き方』など著書多数。

売れない日が続くと、「何とかして売ろう」と焦るものですが、まず、売ろうとするのをやめて、相手の話を聞いてみてください。

というのも、営業の仕事とは、ものを売ることではなく、お客様の問題解決のお手伝いをすることだからです。そして、営業マンにはお客様と成長の感動を共有する使命があります。

お客様の仕事がよりよくなるお手伝いをすることで、自分自身も人間として成長していく。すると、より高いレベルのお手伝いができるようになります。お客様はさらに喜ぶ。

そうやって、成長の感動を分かち合うことで強い絆が生まれるのです。

「誰を幸せにしたいか」

売ることを目的にすると、価値観の合わない人にも売ろうとします。誰でもいいから売る活動は必ずトラブルを生むものです。

営業だけにとどまらず、働くことの使命は、「誰を幸せにしたいのか」という問いへの答えを探すこと。「なぜ売れないのか」「どうすれば売れるのか」という問いを繰り返す営業マンは、プレッシャーにつぶされます。いつも自分へ正しい問いかけをすることです。すると商品に込められた作り手の思いや、それを売るあなた自身が大切にしている価値観に共鳴するお客様が目の前に現れます。

正しい問いかけは、私たちの思考と行動を正しい方向へ導いてくれます。

あなたの売っている商品を一番喜んでくれる人は誰ですか? あなたは誰に商品を売っているのですか? 知らず知らずのうちに、「この人は買わないだろう」「ここはやめておこう」と自分で決めつけて、可能性を狭めていませんか? この決めつけを打ち破ることで、新しいお客様を創造することができるのです。

大切なのは、「この人を幸せにしたい」という、正直で誠実な心です。

売れない人の共通点

こうした「前提」をもとに、売れない人と売れる人の違いを考えてみましょう。

売れない営業マンは、買うつもりのない人、「ノー」の人を、「イエス」に変えようとしています。一方で売れる人は、買おうとしている「イエス」の人をもっと喜ばせて、気持ちのいいイエスにするにはどうすればいいかを考えています。

では、どうすれば「イエス」の人に会えるかということですが、少なくとも、店に来てくれた人や商品について聞いてきてくれた人は、基本的にイエスの人です。興味や関心がなければ私たちに接点を求めません。

会えたなら、その人はイエスの人なのです。だからこそ、「いい感じ」で接するのです。せっかく会ってくれるのですから気持ちよく過ごしていただける努力を怠らないこと。第一印象がよくない人はプロになれません。

さらに言えば、売れない営業マンは、お客様に断る理由を与えています。

例えば洋服の販売で、「いかがですか」とお勧めしたとき、お客様から「ちょっと色がねえ」と言われる。これが三回続くと、四回目には、「ちょっと色は悪いかもしれませんが、いかがでしょう」と、断りやすい言葉をかけるようになります。

多くの人が、本来イエスと言ってくれるお客様に対しても、このように断られることを前提に話しかけています。

自分から売れなくしているにもかかわらず、さらにしつこく「いかがですか」と聞くので、売れない上に悪印象を残してしまうのです。

一方、売れる営業マンは、「この洋服を着てどこに出かけますか」と、イエスを前提に未来をイメージさせます。この根本的なスタートの違いで、お客様をイエスにもノーにもしているのです。

「技術」ではなく、「魅力」

営業には技術も必要ですが、何よりも求められるものは、「人間的魅力」です。どんな人に人間的魅力を感じるかというと、素敵な笑顔、正しい言葉遣い、謙虚な態度、清潔感など、たくさあります。自分の想像する限りの素敵な人を目指せばよいのです。

他にも、靴の揃え方や髪が伸びないうちの散髪など、営業としての凡事を"知っている"だけでなく"している"人は、成績を上げています。

結局、売れない人には魅力がないんです。私が全国で主催している「永業塾」に来る人も、営業として当たり前のことを「知っている」だけで、「していない」うちは売れません。しかしあるとき突然「し始める」と売れ始めるのです。

また、売れる人を見ていると、常に「自分がどうしたいか」ではなく、「人から自分はどのように見えているか」「自分は何を期待されているか」を意識しています。自分がしたい髪型や着たい服を選ぶのではなくて、周りの人が望む自分になる努力を惜しみません。

好感を持たれる姿勢とは何かを考え、「俺が俺が」という「我」を捨てる。そして、「おかげさまで」という感謝の思いで生きるのです。

売れない日など長く続きません。なんでも「知っている」だけのつまんない人から、なんでも「している」実践の人になれば、誰でも売れる人に変われます。

営業は神様に選ばれた人しか就けない職業です。そして、今あなたが営業をしているなら、間違いなくあなたは神様に選ばれた人なのです。(談)

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