2021年3月号記事

DVD

編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。

コロナの影響で映画作品が続々と劇場公開延期となったため、

過去の名作をご紹介します。


Pick Up 1

「アイヒマン裁判」レポートの真実に迫る

「ハンナ・アーレント」2012年

全体主義の起源を説き明かした哲学者ハンナ・アーレント。ドイツ系ユダヤ人であり、ヒトラーの迫害を逃れてアメリカに渡った彼女は、何百万人ものユダヤ人を収容所へ移送したナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンの歴史的裁判に立ち会う。そこでアイヒマンが「凡庸で平凡」な官僚でしかなかったことを目の当たりにし、「悪の凡庸さ」についてザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表。その内容が「ナチ寄り」であるとして、激しい批判にさらされるが─。

世界的スキャンダルとなった、アーレントの「アイヒマン裁判」レポートについて、彼女の信念と共に伝える本作。若き日に恩師ハイデガーから学んだ「考えることで、人間は強くなる」という信念を守り続けたアーレントは、自らも迫害を受けた当事者でありながら、冷静な目で裁判を傍聴し、公平中立な立場で意見を述べた。正義を貫くことの大切さを伝える衝撃の実話。