《本記事のポイント》

  • どう解釈しても……「投票率90%超え」の不自然
  • 説明困難な「投票率ジャンプ」
  • 米メディアの「バイデン勝利既成事実化」に疑問


周知の如く、米大統領選挙では開票結果をめぐり、トランプ大統領とバイデン前副大統領が自らの勝利を主張し合い、事態は混迷を極めている。

バイデン氏は、過半数の選挙人を獲得したと主張し、大統領選での勝利を宣言した。他方、トランプ氏は、バイデン氏側に選挙不正があったとして、法廷で戦い抜く構えである。


どう解釈しても……「投票率90%超え」の不自然

さて、ロイター通信の11月7日付「ファクト・チェック:(SNS上で出回っている投票数よりも登録有権者数が多い)《表》は、15州の古い有権者登録数を示す」(以下、「ファクト・チェック」)という記事は興味深い。

ロイターの指摘通り、SNS上では投票数よりも登録有権者数が多い謎の《表》が拡散している。

「ファクト・チェック」の冒頭部分は、以下、拙訳の通りである。

「多くのソーシャルメディアユーザーは、2020年の米大統領選挙で数えた票数が登録有権者の数を上回っているとして、これこそが選挙不正の証拠だという《表》を共有している。ただし、最新の登録有権者数は、《表》に記載されている数字よりも大きく、15州各州でカウントされた票数を超えることはない」

例えば、激戦州であるウィスコンシン州に関して「ファクト・チェック」は、次のように述べている。

「ウィスコンシン州選挙管理委員会について言えば、投票者登録統計をウェブサイト elections.wi.gov/nodeで入手できる。2020年11月1日における同州の登録有権者の総数は368万4726人だった。(中略)ただ、同州は選挙当日の有権者登録を許可しており、これは、選挙日の登録有権者数が368万4726人を超えることを意味するかもしれない」

ウィスコンシン州では、選挙2日前(事実上、選挙前日)まで登録有権者数368万4726人だった。だが、選挙当日に登録した人がいて、その人たちが投票している。だから、登録有権者数よりも、投票数が多くても特に問題はない──。こう、ロイターは主張しているのだ。

だとしても、である。ウィスコンシン州の投票率は9割に達していることになる。そうした州が、かつての米大統領選挙であっただろうか。


説明困難な「投票率ジャンプ」

ロイターの「ファクト・チェック」では、バイデン氏が勝利した中西部ミネソタ州も89.4%と刮目すべき投票率だった(登録有権者数が358万8563 人で、投票数は320万7098票)。

ここで、別の資料を見てみよう。『STATISA』の「2020年11月4日現在の米国大統領選挙の投票率(州別)」(以下、「データ」)である。

「データ」では、全米で投票率第1位はミネソタ州で、79.2%である。それが、その後わずかな間に、89.4%と10ポイント以上も投票率が上昇した。いくら郵便投票が多いと言っても、何らかの作為によって投票率が急上昇した公算が大きいのではないか(組織票が入った疑いもある)。

一方、「データ」によれば、問題のウィスコンシン州の投票率は76.1%と全米第5位だった。ところが、その後まもなく、およそ90%の投票率となった。約14ポイントの激増である。明らかに不自然だろう。大統領選に勝利したと主張するバイデン氏が、これを合理的に説明するのは至難の業ではないか。

以上のように今度の大統領選挙では、説明困難な不可解な現象が生じたのである。したがって、その検証作業が待たれる。だが、大部分の米マスメディアはバイデン氏を次期大統領として既成事実化しようとしている。そのやり方には疑問を抱かざるを得ない。

 

アジア太平洋交流学会会長

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

 

 

 

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