《本記事のポイント》

  • 中国メディアと首脳は"ポーカーフェイス"装うも……
  • 「バイデン籠絡」は中国の兵法通り
  • 「どさくさ決着」の前に、冷静に情勢を見極めるべき


中国共産党の機関メディア「人民日報」の公式ツイッターアカウントが、トランプ大統領のツイートを嘲笑するツイートをしたことが話題になっている。

今回の大統領選において、「中国政府がトランプ氏とバイデン氏のどちらに勝利して欲しいか」というのが一つの論争テーマとなっていた。「北京は支離滅裂な政権運営を行い、国際的にアメリカを孤立させるトランプ氏を望んでいる」という説もあれば、「中国に対して融和政策をとるであろうバイデン氏を望んでいる」という説もある。


中国メディアと首脳は"ポーカーフェイス"装うも……

その意図を悟られぬよう、選挙前、中国は不気味なほど目立った言動をとらず、静観していた。

プロパガンダ色の強い中国メディアも、大統領選については驚くほど抑え気味のトーンで報道している。中国の各メディア記者も、選挙について「冷静」「中立」「適切」な報道をするよう指導されており、各記者のスタンスが、中国の公式見解であると思われないよう気を付けるよう、きつく言われていたという。

2016年、習近平・中国国家主席は選挙翌日の11月9日には、トランプ氏に祝辞を送っている。しかし今回は、未だに沈黙を貫いている。9日時点で北京の新聞スタンドで売られている新聞も、大統領選を特集したものはなかったという。

一方、各メディアが「バイデン当確」を報じ始める少し前の7日、「人民日報」の公式ツイッターアカウントが、トランプ氏による「I WON THIS ELECTION, BY A LOT! (選挙に勝利した。大勝だ!)」というツイートについて、「Ha Ha(ハハ)」という言葉を、笑い顔の絵文字と共に投稿した。人民日報はその後、このツイートを削除している。

同じく共産党系メディア「環球時報」の胡錫進編集長も8日、「米国の民主主義の運命の一部はトランプ米大統領にかかっている」「今回の結果を拒否し、最後までいまの姿勢を貫けば、衝撃は大きいだろう」と、トランプ氏を"諭す"かのようなツイートを投稿した。

中国は公には"ポーカーフェイス"を貫いてきた。しかし内部の人々はもう"笑いがこらえきれなく"なっており、国際世論のコマが「トランプ敗北」に傾きつつあるのを少しでも後押ししようと、"指で突っつきたく"なっているのではないか。


「バイデン籠絡」は中国の兵法通り

本欄でも指摘してきたが、習近平政権はコロナ禍や「ブラック・ライブズ・マター」運動などを利用し、トランプ氏の支持率下げに腐心してきた。一方、バイデン氏をチャイナマネーで籠絡し、表面的には対中強硬でも、実質的には骨抜きにする準備を進めてきた可能性が極めて高い(関連記事参照)。

その意図を悟られればバイデン氏に逆風が吹くため、北京政府は今まで沈黙を守ってきたのだ。

「まさか太平洋をまたいでそんな大胆な工作をするのか」と思う人もいるかもしれないが、中国においては、いたって伝統的、かつ定石とも言えるやり方である。

魏晋南北朝時代の中国の兵法書「兵法三十六計」には、「梁を偸(ぬす)んで柱に換える」という兵法が記されている。これは「相手の屋台骨を気づかれないようにすり替えてしまい、骨抜きにする」というものだ。

例えば秦の始皇帝は、斉を滅ぼすためにこの手法を用いている。始皇帝は斉の宰相・后勝に多額の金品を贈って買収した。后勝は始皇帝の要請により、大勢の人員を密かに秦に送った。彼らは秦で諜報員として養成され、斉に戻ってからは、秦がいかに強大であるかを宣伝。斉はすっかり戦意を失い、楽に落とされてしまったという。

「トランプ政権に正攻法では勝てない」と考えた習近平政権が、この"歴史的に効果の確かめられた兵法"に活路を見出そうとしたのは、いたって自然なことだ。そしてその意図が、バイデン一家のスキャンダルや、最近の中国メディアのツイートから、垣間見えている。

米国民も世界も、大統領選を「どさくさ決着」に持ち込もうとする前に、いったん冷静に情勢を見極める必要がある。


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【関連記事】

2020年11月8日付本欄 大川総裁が米大統領選の途中経過について法話 「トランプ氏が敗れれば、アメリカが中国によるウィルス戦争に敗れたことになる」

https://the-liberty.com/article/17763/