写真:AP/アフロ

2020年10月号記事

断末魔の中国経済

01 核兵器並みの金融制裁が中国を襲う

ついにアメリカが、「21世紀の精密誘導兵器」と称される金融制裁を 中国に科せるようになった。

もし制裁を発動すればどうなるか。

(編集部 山本慧)


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断末魔の中国経済 01 核兵器並みの金融制裁が中国を襲う

断末魔の中国経済 01 核兵器並みの金融制裁が中国を襲う


「万が一、アメリカが香港問題で中国の銀行に制裁を科し、米ドルの使用を禁じれば、下手をすると中国の銀行の経営は立ち行かなくなります。

世界の決済で4割を占めるドルが使えなくなれば、国際取引が激減し、信用不安が起きるのです」

産経新聞特別記者の田村秀男氏はこう指摘する。

中国は6月末に独裁者ヒトラー顔負けの「香港国家安全維持法」を施行し、香港の自由を脅かしている。直後にトランプ米大統領は「香港自治法」に署名。これにより、香港の自由を抑圧した人物などに、ピンポイントで制裁を科せるようになり、早速8月上旬に香港の林鄭月娥行政長官ら11人に制裁を行った。

だが、この措置はジャブ程度のもの。「制裁対象者と取引した銀行にも制裁を加える」という措置にメガトン級の威力があることは、金融関係者の常識だ。

次ページからのポイント

アメリカによる金融制裁の威力はどの程度なのか

制裁のタイミングはいつごろか

人民元の信用が揺らいで値崩れが起きている