《本記事のポイント》

  • バイデン元副大統領の甘すぎる対中脅威
  • 北朝鮮・イランの核保有も認める可能性も
  • 「戦わないアメリカ」を党綱領に盛り込む

民主党のバイデン大統領が誕生したら、中国の脅威にどう対処するのか。残念ながら、これまでの同氏の発言や民主党の綱領から読み解く限り、希望は持てそうにない。

綱領では、「民主党は中国の挑戦は主として軍事的なものではないと信じる」と記されている。このスタンスは、21日に発刊された『米大統領選 バイデン候補とトランプ候補の守護霊インタビュー』におけるバイデン氏の守護霊の発言と完全に一致する。

バイデン氏の守護霊は、「中国が軍事拡張しているとしても、今は防衛のためですよ」「私は、中国がアメリカを追い越すことはできないと思っている」などの趣旨を述べ、中国の脅威に対する認識の甘さを露呈した。中国の脅威はソ連以上と捉えているトランプ政権とは対照的だ。

繰り返されるオバマの悪夢

もしバイデン政権が誕生した場合、オバマ政権で信任の厚かった閣僚たちが大統領の周りを固めることになる。これまでに名前が挙がっているのは、以下の面々である。

ジョン・ケリー(国務長官)

アントニー・ブリンケン(国務副長官)

カート・キャンベル(東アジア・太平洋担当国務次官補)

ミシェル・フロノイ(国防次官)

トーマス・ドニロン(安全保障担当補佐官)

スーザン・ライス(安全保障担当補佐官)

ベン・ローズ(安全保障担当副補佐官 兼 外交政策スピーチライター)

ジェイク・サリヴァン(バイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官)

民主党の伝統的な国際協調主義的な政策に回帰し、オバマ政権下の外交・安全保障政策が踏襲される可能性が高いということだ。

そのオバマ政権時代を振り返ると、「数々の負の遺産が思い出される」というのが、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)で安全保障学を教える河田成治氏だ。

「オバマ大統領は、東アジアに軍事力をシフトするとして『アジア・ピボット(後にアジア・リバランス)』を政策に掲げましたが、何年たっても実行に移しませんでした。停滞する経済を浮上させるために、10年間は国防費を削減するというのが大きな要因となりました。

また南シナ海の航行の自由作戦についても、中国を刺激するのは避けたいとして実行しませんでした。オバマ氏が2013年に『アメリカは世界の警察官ではない』と宣言した翌年から、中国は南シナ海で人工島の建設を始めました。アメリカの足元を見て、実力行使に出たのです」

台湾防衛の意志はない

バイデン氏は、同盟国と協調して中国に圧力をかけるという。聞こえはいいが、本心はどこにあるのだろうか。

参考になるのは、バイデン氏の外交アドバイザー・トップで、バイデン政権の誕生で要職に就くとみられるアンソニー・ブリンケン元国務副長官の発言だ。ブリンケン氏は5月、米CBSテレビとのインタビューで、中国および台湾との関係について、アメリカが「バランスを取り戻す」ことができるよう望むと語っている。

要するに、現政権の台湾への肩入れは中国を刺激するため、できるだけ事を荒立てない方がよい。中国との交渉次第では、台湾防衛の手を緩めることもあり得るというわけだ。

これに対してトランプ政権は、オバマ政権が拒否した最新戦闘機F-16の売却を台湾に認め、ミサイルや機雷、無人哨戒機の売却に加えて、政府高官の台湾訪問などで、政治的にも軍事的にも、実効力のある行動をとっている。

さらに、バイデン政権で国防長官の最有力候補と目されるミシェル・フロノイ元米国防次官の書いた論文も、最近大きな話題となった。米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿した論文「アジアにおける戦争を防ぐには」である。

その中で同氏は、アメリカの抑止力次第では、アジアで紛争が起きる危険性が高まっていると主張。経済や技術、政治、イデオロギーの領域で競争を展開すべきであると述べたため、各方面から「共和党と民主党との間の外交・軍事政策の差は縮小した」と評価されている。

だがフロノイ氏も述べたように、中国政府が試すのはアメリカの「能力」と「意志」である。肝心のバイデン氏に同盟国を守る強い意志がなければ、抑止力は成立しない。

前出の霊言でバイデン氏の守護霊は、香港、台湾、日本が戦場になる可能性があるとも指摘し、「意志」は見られなかった。

またフロノイ氏は論文で米中間の「対話」が重要だと締めくくり、対話に希望をつないでいる。外交ルートを維持しなければならないのは当然だが、相手が変わると信じるのは、あまりにナイーブすぎる認識であり、この40年間で、対中政策の失敗が証明された関与政策の繰り返しではないのか。

北朝鮮の核を認めるかも

また、対北政策で「戦略的忍耐」を掲げたオバマ政権は、「6ヵ国協議」という多国間の枠組みで北朝鮮との交渉に臨んだ。交渉はダッチロールし続けたことで、ブッシュ政権に続いてオバマ政権下でも、北朝鮮は核開発を続けるための貴重な資源である「時間」を得た。

その点、バイデン政権で要職に就くとみられるスーザン・ライス元国家安全保障補佐官は2017年に米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した記事で、「北朝鮮が核を放棄することはほぼ確実にない」と述べている。

北朝鮮の核の脅威を直視したと言えば聞こえがいいが、このようなアプローチは、金正恩朝鮮労働党委員長に民主化した未来を見せたトランプ政権とは対照的であり、北朝鮮の核保有を事実上認める発言と言える。

同じことは対イラン政策にも当てはまる。先の綱領で「イラン核合意」に戻るとしているため、将来的にイランが核保有国になる道が残されただけでなく、その周辺国も同時に核武装する未来がやってくることを意味する。綱領では核不拡散を掲げているが、その逆となる現実を招くだろう。理想なきリアリズムは、正義ある世界を創れない。

党綱領で大統領の戦争権限を制限し「戦わないアメリカ」へ

また2020年の民主党綱領には、1973年の戦争権限法に基づき、米軍を敵対的な地域に送る際に、「議会の承認」を必要とするという項目まで盛り込まれている。

これは16年の綱領には存在しなかった項目で、左派の影響がにじみ出ている。例えば13年に、シリアのアサド政権が自国民に化学兵器を使用した際、オバマ氏が議会に諮(はか)り、結局空爆を行わなかったケースがある。

オバマ氏は「化学兵器を使用すれば、シリアを攻撃する」とレッドラインを自ら引いておきながら、結局攻撃しなかったため、アサド政権の「悪」に対する「正義」は行われなかった。そればかりか、シリアはロシアの支配下に入り、同国の伸長を許したのである。

戦争権限法に基づく議会承認が盛り込まれたのは、アフガニスタン戦争などの大規模で戦費のかさむ戦争を防ぐためであるが、歴代大統領が違憲としてきた、戦争権限法に基づく「議会承認」まで盛り込んだ党綱領は、確実に「戦えないアメリカ」をつくることになる。

綱領に盛り込まれた国防支出の削減と併せて考えると、「世界の警察官をやめる」という宣言が綱領に盛り込まれていると言っても過言ではないだろう。

バイデン勝利で株価暴落から恐慌に突入か

さらにバイデン氏は、10年間で4兆ドル(約422兆円)もの増税を提案している。キャピタルゲイン課税だけで、現在の約2倍となる39%の引き上げや、経済協力開発機構(OECD)の平均を超える、連邦法人税率の28%の引き上げをそれぞれ予定。しかも大企業に対しては、純利益に15%を課税する「ミニマム税」の導入も検討している。

不景気の中での増税は、1929年時のような世界大恐慌を招く可能性がある。2016年の大統領選では、トランプ政権の誕生が確実視されてから、株価は急上昇した。バイデン政権が誕生すれば、それとは逆となる株価の急落とともに、それに伴う年金資金の枯渇、さらなる財政出動による救済策などで、国防費削減の流れに入るのは確実だろう。

その時、アメリカは中国の覇権拡大にどう対応するのか。バイデン氏側は、頼るべきは「同盟国」と訴えるが、その政策は、オバマ氏の「背後から導く(leading from behind)」という迷言を想起させる。要するに、同盟国は「アメリカのリーダーシップを当てにするな」ということになるだろう。

一言で言えば、ナチスの台頭を許したイギリスのチェンバレン政権のような宥和主義に陥っているのが、バイデン氏なのだ。

一方、宥和主義やもっともらしいリアリズムを捨てて、「ヒトラーを打倒するのが正義だ」と考えたチャーチル英首相と同じく、中国共産党の崩壊と民主化の未来に向けた戦略を持っているのがトランプ大統領である。

トランプ氏の守護霊は、「今の『自由・民主・信仰』のある体制を、少なくとも、われわれの責任下で、二十一世紀ではなくて二十二世紀ぐらいまでは、世界の主流として維持したいと思っている」と述べている(『米大統領選 バイデン候補とトランプ候補の守護霊インタビュー』)。

バイデン氏が大統領になっても、対中戦略は変わらないという有識者の声がある。しかし中国が戦争を仕掛ける恐れが近づく中、最高司令官にふさわしくない人物を大統領に選べば、中国が世界の覇権を握る時代となる。

民主党に投票予定の有権者の56%は「トランプが嫌だから」との理由で、民主党を選んでいるという調査もある。しかし2020年の選挙は、中国の民主化において歴史的な命運を背負ったものになる。世界正義を実現しようとしている最高司令官はどちらであるか──。アメリカ国民は選択を見誤ってはならない。

(長華子)

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『米大統領選 バイデン候補とトランプ候補の守護霊インタビュー』

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