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《本記事のポイント》

  • 帰省について「自粛要請しない」知事、続々
  • 「コロナで、心が奪われていいのか」
  • 「心のふれあい」の価値を再考すべき

新型コロナウィルスの感染が再拡大する中、「お盆の帰省」を歓迎するかどうかについて、各都道府県の首長が見解を発表している。小池百合子・東京都知事は6日の臨時会見で帰省自粛を要請。中国地方5県の知事も連名で夏休みの帰省や旅行計画の再考を呼びかけるメッセージを発表するなど、ネガティブな見解が多い。

そんな中、「ふるさと」に帰ることの重要性を考え、「自粛は要請しない」と明言する知事も出始めている。

「コロナで、心が奪われていいのか」

三村申吾・青森県知事は4日に開かれた定例の記者会見で、政府の分科会における議論を注視するとしつつ、一律に規制自粛をお願いすることは避けたいと明言。声をつまらせながら、以下のようにコメントした。

「(帰ってきた方々に対して)『よく帰ってきた』『よく元気で、こうして来てくれた』『ウィズコロナの時代も気をつけながら共に頑張っていこうや』と、そういう気持ちですよ。コロナ前のようにごく普通にやり取りしていた、そういう気持ちで、お友達やご親戚や、さまざまに関係ある方々に接していただきたい」

「健康や経済などいろいろ奪われたが、いろんな嫌なことがあって、心まで奪われてもいいのか。お盆はそれぞれのふるさとで、いろんな意味で心を取り戻す期間になればいいと思う」

仁坂吉伸・和歌山県知事も4日の会見で「今日の時点で帰省をやめましょうというつもりはない」とコメント。福田富一・栃木県知事も同日、「お盆の時期の帰省は家族を思い、ふるさとを訪ねる特別なもので、一律に自粛を求めることはできかねる」と語っている。

「心のふれあい」の価値を再考すべき

批判も覚悟した上での「帰省歓迎宣言」だろうが、昨今の自粛ムードに、重要な問いを投げかけている。

「家族や親戚に会って心の交流をする」というのは、人間の生活の中で根幹的な営みだ。「お盆に帰省し、お墓参りで先祖に思いを馳せる」ことも、日本人の重要な伝統だ。それを、行政やメディアが簡単に"禁じる"ことは、本来あってはならないのではないか。

本欄でも指摘しているように、毎年のインフルエンザは日本におけるコロナより、感染者数・死者数共に多い。しかし、「冬のインフルエンザ流行期と重なるから、日本では正月の帰省文化を半永久的に自粛しよう」という話にはならない。

感染対策の中で切り捨てられがちな「人と人とのふれあい」は、人間の営みにとって大きな価値を持つ。そのことを政府や行政の人々は、重く認識すべきだろう。

(馬場光太郎)

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