外出自粛の買い溜めで品切れが相次ぐ東京都内のスーパー。写真:ロイター/アフロ

2020年7月号記事

スーパーの食品7割減!?

コロナで食糧危機がやって来る!

中国発・新型コロナウィルスは、日本社会の無力さをさまざまな角度から浮き彫りにした。
その状況下で、食糧危機が発生すれば、どうなるのか。

(編集部 山本慧、山本泉)

4月に緊急事態宣言が発されて以降、レトルトやインスタント、冷凍食品などが品薄になっている。一方で、外食産業の休業や外出の自粛などで、農作物や水産物が売れ残り、生産者は悲鳴を上げている。

そうした中、コロナの感染拡大により、世界的な食糧危機の可能性が高まっている。

背景には2つの要因がある。

まずは、農業国が相次いで穀物などの輸出を制限し、供給を減らしたことだ。世界最大の小麦輸出国であるロシアをはじめ15カ国が、国内の供給を優先すべく、輸出規制を行っている(5月1日時点)。

もう一つは、食料の生産が減る恐れがあることだ。

フランスやイギリス、ドイツは、感染防止を目的とした入国制限を行った結果、外国人労働者の流入がなくなり、第一次産業の人手不足に直面。失業者を農業や畜産業にマッチングさせる政策などを打ち出し、対応に乗り出している。

しょぼい日本の農業対策

各国が食糧危機に備え始めた。

食料輸入大国である中国も、若者を農業に従事させるとともに、コメの買い上げを過去最高レベルに引き上げている。

しかし、食料自給率が先進国で最低レベルである日本では、そうした気運がまったく起きていない。

4月末に成立した補正予算には、食料供給を強化する予算が800億円しか計上されておらず、まさに平和ボケの状態だ。

食料の供給網が崩れれば、外食産業は壊滅し、スーパーは空っぽの棚を並べることになる。

次ページより、日本に迫る食糧危機のシミュレーションを行い、国民の食卓を守る「食糧安全保障」について考えてみたい。

次ページからのポイント

スーパーの食品売場の7割が消える!?

米中戦争で日本が輸入できない食品

バッタ被害で値上がりする食品

東京大学教授 鈴木 宣弘氏インタビュー

資源・食糧問題研究所代表 柴田 明夫氏インタビュー