《本記事のポイント》
- ソロモン諸島の地方政府が中国企業と島の賃借契約を交わした
- ソロモン首相は契約の「無効」を宣言
- 日本が教訓にすべきポイントとは
南太平洋にあるソロモン諸島の地方政府が9月22日、同諸島にあるツラギ島を経済特区設立のため中国企業「中国森田」に75年間貸し出す契約を結んでいたことが明らかになった。
ツラギ島は、英国統治時代には植民地政庁があり、島内にある水深の深い港は、日本海軍が根拠地として使用していたこともあった。近くには、ガダルカナル島がある。
ソロモンと同じく南太平洋に位置するオーストラリアでは、中国による軍事利用への警戒感が強まっている。
契約は「違法」と首相が宣言
ソロモン諸島は、9月16日に台湾と断交。ツラギ島を巡る契約は、中国との国交樹立直後に、中国企業とソロモン諸島の地方政府との間で行われていた。
ソロモン諸島では、海外企業が地方・中央政府と合意を結ぶ場合、司法長官の審査が必要になるが、今回の契約はこの審査を経ていない。そのためソロモン諸島のソガバレ首相は25日、声明を発表。「違法で法的拘束力はない。直ちに終わりだ」とツラギ島を巡る契約の「無効」を宣言している。
こうした事態を受けエスパー米国防長官は、ソガバレ首相の無効宣言を「称賛する」との声明を発表している。
地方分権の危険性
こうした事態は、日本も他人事ではない。
沖縄の玉城デニー知事は、「沖縄を一帯一路の出入り口として歓迎する」と発言。「中国へ"朝貢"したい」とも思われかねない状態だ。実際に沖縄では、中国資本による土地買収が進められている。
那覇市の中国からの大型クルーズ船が停泊する港のすぐ近くには2015年12月、中国・福州市との友好都市締結30周年の記念事業として、高さ約15メートル・幅3メートルの龍柱が建設された。龍柱は中国皇帝の属国であることを示すため、沖縄が中国の属国と誤解されかねない状況だ。
昨今、地方分権をもてはやす声が多い。しかし、「地方自治が国の統治に優先される」状態が横行すると、ソロモン諸島の例のように、地方政府が暴走し、国の主権を脅かす事態を招く可能性もある。警戒を強める必要があるだろう。
(飯田知世)
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