画像は、フィナンシャル・タイムズ紙のホームページ画面。
《本記事のポイント》
- 英FT紙が、中国政府による台湾メディアへの介入を指摘
- 台湾総統選を控え、親中派にテコ入れか
- 日本政府は「日台交流基本法」を制定し、台湾を守るべき
来年1月に予定されている台湾の総統選をめぐり、中国政府による台湾メディアへの介入が指摘されている。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の電子版が今月17日、台湾を代表する大手新聞「中国時報」と台湾衛星放送局の「中天電視」が、中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)によって介入を受けていると報じた。
FT紙は、中国時報と中天電視、それぞれで働く記者の声を匿名で掲載。両メディアが、編集方針について国台弁から直接の指示を受けていることが明らかになった。
"韓ウェイブ"を生みだした報道
特にFT紙が指摘するのは、総統選をめぐる二大政党の扱いに偏りがあるという点だ。
今月15日、蔡英文総統率いる民進党の対抗馬として、高雄市長の韓国瑜(かん・こくゆ)氏が国民党の総統選候補者に選ばれた。同日、現地のニュース番組では、韓氏の勝利を祝福する支持者の様子が大きく報じられた一方、ハイチなど外交関係のあるカリブ海の島国を歴訪していた蔡英文総統についての報道はなかったという。
「台湾で二番目に大きい都市・高雄市のポピュリスト市長、韓氏へのフォーカスは今回に限ったことではない。過去においても、二つのテレビ番組が、62歳の元立法委員をノンストップで報じ、"韓ウェイブ(Han Wave)"を生みだした。その熱狂は、盛りを過ぎた政治家だと思われていた彼を、よみがえったスターに変えた」(17日付 FT紙電子版)
韓氏は、昨年11月に行われた台湾の統一地方選挙において、高雄市長に当選。泡沫候補と思われていた国民党の韓氏が、民進党支持者の多い高雄市で当選したことについて、中国からの支援を疑う声も挙がっている。
日本は台湾を守れるか
中国の習近平国家主席は年初に、台湾統一のためなら「武力行使を放棄しない」と明言しており、台湾への圧力を日に日に強めている。
もし、中国の思惑通り韓氏が総統に就任すれば、台湾の独立は風前の灯となる。台湾が中国に統一され、中国の軍事基地となってしまえば、日本の安全保障も危機に陥る。
台湾の独立を守るため、日本政府は「日台交流基本法」を制定するなど日台関係を強化すべきだ。中国政府の意向に配慮し、台湾を無視し続けるような日本政府の方針を変える時に来ている。
(片岡眞有子)
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