始皇帝の陵に眠る兵士及び馬をかたどった「兵馬俑」。絶大な権力があったことが分かる。
《本記事のポイント》
- ヒットの秘密はキャラクターの再現性
- 漫画では、始皇帝は民に優しい王として描かれる
- だが、始皇帝の実像は、最大級の悪魔だった!?
全国で公開中の映画「キングダム」が話題を呼んでいる。公開から2日間で38万2000人を動員、興収5億2600万円を記録し、20日~21日の週末映画ランキングでは「名探偵コナン」に次ぐ2位を記録した。
本作は同名の大ヒット漫画が原作となっており、今から約2200年前の中国の王朝、秦の始皇帝が天下統一を目指すストーリーだ。
ヒットの秘密はキャラクターの再現性
主役は山崎賢人さん演じる、天下の大将軍となることを夢見る「信(しん)」。信は、吉沢亮さん演じる、後に秦の始皇帝「嬴政(えいせい)」と出会い、嬴政の天下統一の夢に魅せられていく。他にも大沢たかおさんや長澤まさみさん、本郷奏多さんといった実力派の俳優陣が脇を固める。
原作漫画の人気の理由の一つは、魅力的なキャラクター群だ。映画を見たファンからは、「大沢たかおさんがそのまんますぎる」、「嬴政の再現率が素晴らしい」とキャラクターの描写が高く評価されている。
漫画の実写化は、原作のファンから厳しい評価が下りやすいが、本作は世界観が崩されることなく、キャラクターが忠実に再現されていたことが大ヒットの理由のようだ。
秦の始皇帝の実績
ヒットの要因はキャラクター性にあるが、現代までに残っている秦の人物についての資料は非常に少ない。そのため「キングダム」のキャラクターの描写はフィクション性が非常に高いものになっている。
史実として言えることは、秦の始皇帝は、作中のような優しい王ではなく、「暴君」だった。異民族の侵入を防ぐために「万里の長城」を築いたのは有名だが、建設に当たっては民衆を強制労働させた。また、「焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)」と呼ばれる思想・言論の統制を行い、儒者を殺したり、阿房宮という宮殿に3000人の美女を住まわせたりした。
始皇帝の本質とは?
「キングダム」では民に優しい王として描かれているが、果たしてそうなのか。
その実像に迫ったのが、大川隆法・幸福の科学総裁の著書『秦の始皇帝の霊言』だ。霊言とは、あの世の霊存在の言葉を語り下ろすこと。つまり、あの世に還った始皇帝の霊に話を聞いた内容が綴られている。そこからは、「キングダム」の内容とは程遠い、黒い実像が浮かび上がる。
人間観について始皇帝の霊に聞くと、こう言い切った。
「人間を信頼してはいけないんであって。大多数は"イナゴの大群"なんで、職を求めて飛んでるだけですから、大多数は。思考力があるのは14億のなかの、せいぜい100万人ぐらいですからねえ。あとはイナゴだから」
また、日本では当たり前の価値観である自由や民主主義について、「14億人いる国民に、『民主主義』という名のなあ、投票権で国を振り回すことを許したら、国が分裂していくようなことを、容易に許すわけにはいかないんでね」と述べ、現在の中国共産党の統治を肯定的に評価した。
これを受け、大川総裁は同書のあとがきで「 無神論・唯物論の14億人の大国は、万里の長城は知っていても、秦の始皇帝という霊存在が2200年の歳月を経て、まだ中国を闇支配していることは知るまい 」と、始皇帝は最大級の悪魔であると喝破している。
映画「キングダム」はエンターテインメントとしては面白いが、その内容が真実であるかどうかは別の問題だ。歴史家の研究や霊言が示すように、始皇帝は決して善良な王ではなかったといえよう。
(上條健太朗)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『秦の始皇帝の霊言 2100 中国・世界帝国への戦略』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1933
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