米CNNのサイト内に、宗教テーマに特化した「Belief Blog」というブログがある。その14日付の記事が今回の大震災に絡めて日本人の宗教感情をコンパクトに紹介しており、米国人の目という鏡に映った日本人の信仰の姿が伺える。以下、①~③は抜粋。

①たいていの日本人は世俗的な日本社会に満足している点でアメリカ人と違う。だが葬式になると、日本人の多くは仏教に頼る。アイルランドのコルク大学で日本の宗教を研究するBrian Bocking氏は言う。「日本人の大多数は先祖の霊が存在すると信じていて、亡くなった先祖に対する作法が大切だと思っている」

②キリスト教、ユダヤ教、イスラム教では天災に遭うと「神はなぜ地震を起こしたのか」といった原因論を気にする。だが日本人は仏教と神道両方の伝統に従い、悲劇に対してどう振る舞うかに心を集中しようとする。Bocking氏は言う。「逆境に直面しても雄々しく明るい態度に努めなければいけないというのが、日本人なのです」

③今回の被災で、仏教による葬儀が多数、取り行われるだろう。だが日本の若者の多くはすでに仏教から離れている。葬式仏教(funeral Buddhism)と言われる僧侶の商業主義的姿勢が嫌だからだ。サンフランシスコ大学の神学宗教講座のジョン・ネルソン主任教授は言う。「今回の震災は仏教僧侶にとって、自分たちの存在が現代でも意味があることを示すための機会である」

多くの海外メディアは、日本人が今回の震災にも取り乱さず立派に振る舞っていることに驚き、賞賛しているが、②はその理由を日本人の伝統的信仰に求めたものだろう。神の裁きを怖れる一神教徒とのメンタリティの違いが伺われて興味深い。また③にある通り、宗教者にとって今回の被災は、自分たちの存在が人々に対する心のケアとなり得るかを問われる試金石であることは間違いない。(司)

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【3月16日分ニュースクリップ一覧】
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インドや中国は今後も原発推進
震災の救援調整役にメア氏