11日、東北地方太平洋沖地震により、東京電力福島第一、第二原発を含む11基の原発が自動停止し、政府は原子力緊急事態宣言を発令。12日、同第一原発1号機からの放射性物質の漏えいが確認され、経済産業省の原子力安全・保安院は「炉心溶融」が起きている可能性があるとの見方を示した。

炉心溶融とは炉心にある核燃料が過熱して解けることで、原発が想定する中で最悪の事態。過熱を防ぐために原子炉を満たしている水が減ることで起き、事態が進めば核分裂反応が制御できなく恐れがある。事実、同1号機では水が漏れた可能性があり、核燃料が露出しているという。

また12日午後、同1号機で大きな爆発が起き、社員4人が負傷。英BBCは爆発の映像を報じている。政府によれば爆発は、原子炉の水から発生した水蒸気が、格納容器とその外側の建屋との間に出て水素になり、酸素と合わさって起きたもの。炉心溶融によるものではなく、爆発による格納容器や原子炉の破損もないという。

一部報道には危機感を煽るものも見られるが、東京電力は核分裂を抑えるホウ酸と炉心を冷やすための海水を原子炉に注入するなど、炉心溶融を止めるための作業を続けてきており、最悪の事態は避けられる可能性もある。過剰なパニックや「原子力危険論」に誘導しようとするメディアには要注意だ。(由)

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