2011年4月号記事
いじめ、学力低下、学級崩壊、不登校……。日本の公立学校を取り巻く現状は厳しい。だが、多くの子供たちに良質の教育を提供し、未来を担う人材へと育て上げるには、公立学校の立て直しは避けて通れない。取材を通して、教育再生のヒントを探ってみたい。
(編集部・奥津裕子)
「やっと受験が終わったよ」
肩の荷を下ろしてホッと一息。毎年2月になると、こんなメールが筆者のもとに届き始める。ここ数年、友人の誰かしらが、〝中学受験生の母〟なのだ。
進学塾「四谷大塚」の推計によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の今年の中学受験者総数は約5万4千人。小6人口は約30万6700人で、受験率は17・6%に上る。
ここ10年あまり、ゆとり教育による学力低下の懸念とともに中学受験者数が増加。もはや中学受験は特別なものではなくなった。
不況の今、家計にとって私立中学の学費負担は重くのしかかる。しかし、たとえ学費がタダであっても、いじめが蔓延し、教育レベルの低い公立中学には進学させたくない――そう考える保護者は少なくない。公立学校の低迷、その原因はいったいどこにあるのだろうか。