玉城デニー氏の公式HPより。
《本記事のポイント》
- 沖縄知事選が投開票され、「オール沖縄」勢が勝利
- だが、オール沖縄の勝利は久しぶりであり、今年は政府・与党系候補が連勝していた
- 玉城氏は「沖縄の一国二制度の導入」を主張し、中国につけ入る隙を与えかねない
沖縄県知事選が9月30日に投開票され、米軍普天間飛行場の辺野古への移設に反対する玉城(たまき)デニー氏が当選した。同氏は、共産党や社民党などからなる「オール沖縄」から支援を受け、佐喜真淳(さきま・あつし)前宜野湾市長に約8万票の差をつけ、勝利した。
当選を果たした玉城氏は、「翁長知事が志半ばで病に倒れ亡くなられたことに対する県民の喪失感と、翁長知事の気持ちや行動を無駄にしてほしくないという思いが票につながった」と発言。一方の安倍晋三首相は「政府としては選挙の結果を真摯に受け止め、沖縄の振興、そして基地負担の軽減に努めていく」と述べた。
オール沖縄勢は他の選挙で連敗していた
多くのマスコミは、玉城氏の当選により、政府が進める辺野古移設計画が泥沼化するとし、安倍政権への打撃はまぬかれないと論じている。確かに、政権の求心力低下は避けられないが、別の地方選挙では、オール沖縄勢が連敗続きであり、今回の勝利は久しぶりだった。
知事選と同日に投開票され、普天間基地が立地する宜野湾市長選では、政府・与党から支援を受けた松川正則氏が勝利した。また、同日に行われた沖縄県議補選でも、中国の脅威が迫る石垣地区の欠員2議席をめぐり、与党系の新人議員2人が当選している。
さらに2月には、政府・与党が支援する渡具知武豊氏が、辺野古基地を抱える名護市市長選で勝利。3月にも、陸上自衛隊配備計画に理解を示す中山義隆石垣市長が3選を果たした。
基地賛成派が立て続けに勝利を収めており、今回の知事選の結果だけを見て、その勢いが削がれたとは言い切れない。
玉城氏「沖縄を一国二制度にして」
では、翁長雄志前知事の路線継承を掲げる玉城氏は、沖縄をどのような県にしたいのか。5月の内閣委員会における安倍首相に対する次の答弁から、氏のビジョンが垣間見える。
「最後に総理に要望を申しつけたいと思います。沖縄を『一国二制度』にして関税をゼロにし、消費税をゼロにする。そのぐらい大胆な沖縄の将来を見越したそういう提案もぜひ行っていただきたい」(原文ママ)
玉城氏は「沖縄を香港のような一国二制度を導入することで、経済を活性化させる」という立場を示した。しかし、今の香港は中国に浸食され、自由が弾圧されているのは周知の事実。ネット上では、同氏の言動は沖縄独立につながるとして、批判が巻き起こった。
むしろ、香港のようにならないようにするために、辺野古移設計画を進めるべきだが、玉城氏は、安全保障の意識や国際感覚が希薄なのだろう。もし沖縄に一国二制度が導入されれば、中国につけ入る隙を与え、香港のような恐怖社会が訪れることは明らかだ。
いずれにせよ、国政マターである基地問題が、一地方選挙の結果に左右されてはならない。
(山本慧)
【関連記事】
2018年7月14日付本欄 中国人権活動家・劉暁波氏の死から一年 ドイツで式典開催も妻の参加叶わず
https://the-liberty.com/article/14656/
2018年6月27日付本欄 台湾の李登輝元総統が中国の覇権主義に警鐘 「中国にとって最大の敵は自由」